『五月晴れ』 想い出がよぎれば歌がよぎる 想い出が募れば大きな目が潤む だけどぼくには大した想い出もなく 大きな口をぽっかり開けている
大きな口をぽっかり開ければ 大きな空がぼくを見つめる まぶしいくらいの爽やかな風が 生まれたばかりの柿の葉を揺らす
五月晴れ、今日はお休み ぼくにとってつけのいい陽気 たまにはぼくも日干しにされて 夏も間近の風を受ける
君がいれば心も揺れる だけどそこまで暑くもないし そこまで続く風でもないよ 五月晴れ、今日はぼくも…
この詩は1979年のちょうど今時期に書いたものである。 1979年ということは、ぼくが東京にいた頃だ。
今、5月を題材にした自作詩を探している。 気分転換の意味で、久しぶりに歌作りでもしようかと思っているのだが、曲はともかく、肝心の詩が書けないのだ。 そこで、かつて書いた詩で季節感のあるもの、ということで5月を題材にした詩に目を向けたわけだ。
そういうわけで、数日前から高校1年以降に書いたノート全部を調べている。 ところが、5月を題材にした詩どころか、5月に書いた詩もあまりないのだ。 東京以前に書いた詩に『夢の架け橋』というのがあるのだが、それは5月に書いた詩である。 しかし、 「夢の架け橋を ひとり渡ろう 風もなく 波もなく ただ静かな 闇の上を
通り過ぎる日よ 音もなく続く かもし出す 街の灯は 影も写さず
ああ、なぜに人はいぬ 声を上げ 振り返る日々 時は過ぎ 愛は朽ち 切ない夜よ
夢の架け橋は まだ遠く長く 歌もなく 星もなく 冷たい日々よ
遠く浮く 船の帆影よ 映し出す 淡い月明かり 呼ぶ声は 闇に行き 汽笛の声に 打ち消され
夢の架け橋を ひとり渡ろう 風もない 波もない 冷たい日々よ」 というふうに、この詩には季節感がない。
他には、 「夜も濃くなる街 寂しさだけの遠吠え 雨もやんだばかり もう傘をたたんで 通り過ぎていく車 照らしていくネオン いっしょに歩こう たった二人だけで
雲のすきまの星 かすかに影を写し 夢のようなランデブー 公園のベンチは濡れ 何もかも忘れ すべては一つ いっしょに歩こう たった二人だけで
時の間に水は落ち 気がつくと空に星 水たまりに目を落とし まぶしさに目を閉じる もうすぐ夜は明ける 小鳥たちはうたう いっしょに歩こう たった二人だけで」 という詩(いっしょに歩こう)があるが、これは恋愛詩である。
ということで、ようやく出てきたのが、冒頭の詩でだったわけである。 まだ調べてないノートが数冊残っているが、5月を題材にした詩というのは、きっとこれだけしかないだろう。
こうやってみると、5月というのはあまり創作活動には適してない季節のようである。 とはいえ、ぼくの四柱推命などで見てみると、5月と7月は創作活動に最適な月なのだ。 7月は「これは!」というのがいくつもあるのだが、5月はどうしてなのだろう? 気分転換は7月まで待つしかないのかなあ…。
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