頑張る40代!plus

2005年01月23日(日) 上京前夜(16)

打ち上げが終わり、その数日後にバイトは解散になった。
ぼくはこのバイトで、仕事の難しさよりも、人付き合いの難しさを知った。
たったひと月半だったが、その短い期間にいろいろな事件があった。
何気ない言葉で袋だたきに遭わされそうになったり、はっきりした態度を取らなかったためにだめになったX子のこともあった。
もちろん、Oさんとのことも。
そのつど反省することも多かった。
とくに、Kさんのようなタイプの人とつき合うのは初めてだった。
そのため、この人とはどういう自分で接すればいいのか、などと考えることもあった。
また、Kさんを見ていると、自分が普通の人ではないように思えてきて、「この先、本当にまともに生きていけるんだろうか」などと思うこともあった。

とはいえ、楽しいひと月半だった。
その後も、しばらくバイト仲間とのつき合いは続いた。
特に覚えているのは、みんなと会うのが最後になった、成人の日のことだ。
そのバイト仲間の中で、その年成人になったのは、ぼくとAという男の二人だった。
正月にKさんに会った時に、「成人の日に、おまえたちのお祝いをしてやる」と言われていたのだ。

その成人の日、成人式に参加しなかったぼくは、午前中に慣れないスーツを着て親戚周りをした。
もちろん、ご祝儀目当てである。
それが終わってから、ぼくはKさんたちが用意してくれたお祝い会場に行った。
お祝い会場と言っても、別に店を借りたわけではない。
Oさんたち女性陣の一人であるYさんという方が、家を開放してくれたのだ。
そのおかげで時間を気にせずに、夜遅くまで飲み食べ語ることが出来たのだった。

宴もたけなわになった頃だった。
KさんがIさんに、「ちょっといいですか?」と声をかけ、別の部屋に連れて行った。
その部屋にはOさんがいたのだ。
KさんはIさんを部屋に入れると、自分は外に出た。

ぼくはKさんに聞いた。
「何がありようと?」
「例の件よ」
「例の件…?」
「告白タイム」
「ああ」

しばらくして戻ってきたOさんは、席に着くなり一気に酒を飲みほした。
それを見たぼくたちは、すべてを悟った。
酔いが回るに連れ、Oさんは「Iさん好きです」を繰り返し口にした。
しかし、どうしようもなかった。
Iさんにはすでに彼女がいたのだった。
どうなるものかと思ったが、さすがにIさんは大人だった。
なるべくOさんが傷つかないような方向に話を持っていった。
それを見ていたKさんは、「ホントこの人はいいカッコしいなんやけ」と言って、Iさんを批難した。
が、当のOさんはIさんの話で吹っ切れたようだった。

その後、祝成人会はお開きとなった。
最後に「またこういう会を開こう」ということになったが、その後、現在に至るまで、その会は開かれていない。
というより、この先も開かれないだろう。
それには理由がある。


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