頑張る40代!plus

2005年01月15日(土) 上京前夜(10)

前にも書いたが、ぼくはOさんのことを好きだったわけではない。
ただ、Kさんから「この会社の中では誰がいいか?」と聞かれたので、Oさんの名前をあげただけの話である。
実は、その頃ぼくには、気になっている女性がいたのだ。
それは井筒屋に実習にきている女子高生だった。
彼女は3年生だった。
当時ぼくは20歳にだったから、2つ年下ということになる。
つき合うとすれば、ちょうどいい年の差だ。

KさんからOさんとつきあえ、と言われた後のことだった。
そのKさんから意外な話を聞いた。
「おい、しんたは、女子高生が実習に来よるのを知っとるか」
「うん。時々ここに来るやん」
「おう。その中にX子という子がおるやろ」
「いや、名前までは知らんけど…。どの子かねえ?」
「一番背の高い子よ」
「ああ、あの子ね」
「それがの、あの子がおまえのことを好いとるみたいなんよ」
「えっ?」
一番背の高い子というのは、ぼくが気になっている女性だった。

「それでの、そのX子がおれに、『Kさん、しんたさんっているでしょう。あの人彼女とかいるんですか?』と聞いてきたんよ」
「えっ…。で、何と答えたと?」
「『あいつはだめ。他に好きな人がおるけ』と、ちゃんと言うといてやったぞ」
「えーっ!(『ちゃんと』って、そういうことは答えないでほしい)。それでどうなったと?」
「諦めたみたいぞ」
「・・・」
「おまえにはOさんがおるんやけ、女子高生なんかどうでもいいやろうが」
「・・・(どうでもよくない)」
「それよりも、Oさんのことはどうなったんか?もう言うたんか?」
「いいや、まだ」
「おまえ何しよるんか。早くせんと、このバイト終わってしまうぞ」
「…ああ」

ぼくはOさんのことは、もうどうでもよかったのだ。
それよりも、X子のことが悔やまれてならなかった。
しかし、「バイトが終わるまで、まだ時間はある。そこで訂正すればいい」と思い、気を取り直すことにした。
ところが、翌日、大勢いた女子高生が、井筒屋から一斉に姿を消したのだった。
実は、X子がKさんにぼくのことを聞いた日が、実習最後の日だったわけだ。
X子は、その後ぼくの前に姿を見せなかった。
ということで、ぼくはX子に訂正できないままになってしまった。


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