頑張る40代!plus

2005年01月13日(木) 上京前夜(9)

その運送会社にはかなりの数のアルバイトがいたが、その中で特に仲が良かったバイト仲間が5人いた。
もちろん上記のKさんも入っていた。
この5人とはよく飲みに行ったものだった。
仕事が終わると、街に繰り出す。
店が閉店になっても飲み足らず、Kさんの家に行ってはまた飲み直す。
バイトの後半は、そんな生活が続いていた。
そのうちに事務所で勤務しいている女性3人とも仲良くなり、その後頻繁にホームパーティなどを開くことになるのだが、そのきっかけを作ったのはぼくだった。

その女性の中に、Oさんというきれいな人がいた。
ぼくはその人に、ほのかな憧れを抱いていた。
が、好き、というほどでもなかった。
ある日、Kさんから「しんた、おまえ好きな人はおるんか?」と聞かれた。
「高校時代から、ずっと好きな人がおるよ」
「つきあいよるんか?」
「いや」
「じゃあ、片想いか?」
「まあ、そんなところやね」
「他におらんとか?例えばY運送の中の人とか」
「Y運送の中なら…、Oさんかねぇ」
「Oさん?ああ、あの事務の人か」
「うん」
「どこがいいんか?」
「どこがと言われても…。まあ、全体の雰囲気やね」
「そうか」
「ところであの人いくつなんかねえ?おれとあんまり変らんようやけど」
「さあ、知らん。今度聞いとってやろうか」
「お願いします」

それからしばらくして、Kさんが「Oさんの歳がわかったぞ」と言ってきた。
「いくつなん?」
「おまえよか一つ上らしい」
「そうなん」
「喜べ」
「え?」
「今、彼氏はおらんらしいぞ」
「ふーん」
「好きならつきあえ」
「いや、別に好きというわけじゃない」
「この間、好きと言ったやないか」
「好きとは言ってないよ」
「いや、そんなことはない。口に出さんでも、おれにはよくわかった」
「はあ?」
「こういうことは、はっきりさせといたほうがいい。だめならだめで、早いうちのほうが傷つかんですむ」
「・・・」
「いいか、今日の夜、告白してこい」
「あ?」
「早いほうがいいと言ったやろ」
「いや、今日は…」
「今日はだめなんか。じゃあ、いつ言うんか?」
「いつと言われても…」

ぼくは早くこの話から抜け出したかった。
だが、Kさんはなかなか終わってくれそうにない。
そこで、「わかった。じゃあ近いうちに言うけ」と言ってその場を逃れることにした。
「そうか。じゃあ、結果をちゃんと報告せよ」
そう言うと、Kさんはようやくその話を終えた。

ぼくはホッとした。
そして、「ああは言ったものの、時間を長引かせれば、そのうちKさんも忘れるだろう」と思っていた。
ところが、Kさんはなぜかしつこかった。
ことあるたびに、「おい、告白したか?」と聞いてくるのだ。


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