昼食時、30年前のことを考えていた。 今から30年前といえば、1974年である。 ぼくは高校2年生だった。 高校2年といえば、高校生活が一番充実していた時期で、高校生活最大のイベントである修学旅行もその年に行った。 だが、今日は別にそんなことを考えていたのではない。
どんなことを考えていたのかというと、歌のことである。 30年前のちょうど今頃、一番流行っていた歌は風の『22才の別れ』だった。 あの曲のおかげで、かまやつひろしの『我が良き友よ』は1位になれなかったのだが、今日はそのことを考えていたわけもない。
ぼくが考えていたのは、実は「仮にあの歌がノンフィクションであったとしたら…」ということだった。 歌通りであれば、あれから30年たっているわけだから、主人公である女性は今52才になるのだ。 そこで、30年間の彼女の人生を考えてみた。 彼女はつき合っていた彼氏と22才の時に別れて、知らないところに嫁いでいったわけだから、その嫁いだ時期というのは彼女が22才もしくは23才の時である。 その後、順調にいっていれば、彼女は24才で出産したはずだ。 ということは、その時生まれた子は、今28才になっている。 そして、その子が平凡な人生を歩んでいたら、すでに結婚し、子供もいることだろう。 つまり、『22才の別れ』の主人公は今、おばあちゃんになっているということだ。
さて、一方、男のほうはどうなったのだろうか? 相手から別れを告げられ、うまく立ち直ることが出来ただろうか? 彼女が、恋愛と結婚は別物と考えて彼をふったのか、金色夜叉のお宮のように金に目がくらんで男を見捨てたのか、それとも男に将来性を感じなかったために見限ったのかは知らない。 が、ローソクを点けながら「ひとつひとつがみんな君の人生だね」なんてキザなセリフを言うわりには、甲斐性のない男だったのは確かなようだ。 彼女に、結婚の動きがあったのも知らずにつき合うような、脇の甘い男だったわけなのだから。 「早く気づけよ!」、である。
しかし、5年の月日を「長すぎた春」と切って捨てたり、「あなたは、あなたのままで変らずにいてください」と言ったりするような身勝手な女と、よくつき合えたものである。 ぼくなら、もっと早い時期に、こちらから別れを切り出していただろう。 それが出来なかったのは、彼の人の良さなんだろうか? それとも、気の弱さなんだろうか? 彼の、その後を知りたいものである。
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