さて、外販活動が開始になってから、ぼくたちは朝礼後に、いつも店から少し離れた場所にある喫茶店に集合した。 そこでモーニングを食べてから、行き先のある人は出かけ、ない人はそのままその喫茶店でマンガを読んでいた。
そういうある日のこと。 外部の人から、会社に電話があった。 内容は、「おたくの社員は、いつも喫茶店でさぼっている」というものだった。 当然、その電話は店長に取り次がれた。 だが、店長はそのことで、ぼくたちを咎めるようなことはしなかった。 また、そういう電話があったことも、ぼくたちには知らせなかった。 それを教えてくれたのは、電話を店長に取り次いだ人間だった。 それを聞いたぼくたちは、「店長の発言に嘘はない」と思ったものだった。 そして、ぼくたちと店長の間には、信頼関係が出来上がっていった。 その結果、キャンペーンは大成功に終わり、それまで低迷していた売り上げは一気に伸びたのだった。
しかし、時すでに遅かった。 映像キャンペーン前に、すでに本社から営業面の強化を図る対策が練られていたのだ。 結局、店長は以前の管理畑に戻っていった。
【『左遷』店長登場】 その後任でやってきたのが、『左遷』の主人公になった店長だった。 映像キャンペーンが終わった後ということもあって、今ひとつ売り上げは伸びなかった。 そこで、とった手段が、前任店長のパクリとも言える外販部隊だった。 ところが、彼はそのやり方を知らなかった。 前任の店長がの場合は、自分の眼鏡にかなった人間を抜粋したのに対し、後任は自分の嫌いな人間を選出したのだ。 また、前任は外販部隊のメンバーをおだてにおだてて、その力を引き出したのに対し、後任はメンバーの顔を見ると、不快な顔をして、怒鳴り飛ばしていたのだった。 そのため、メンバーの意気は上がらず、中途半端なままで外販部隊をたたむことになってしまったのだった。
【店長の弱点】 『左遷』の中で書いたが、彼には強気に振る舞う者が持つ、共通の弱点があった。 それは、相手に強気に出てこられると弱い、ということだ。 逆に言えば、彼らは自分の弱さを隠すために、強気に振る舞っているのだろう。
さて、その店長には、もう一つ致命的な弱点があった。 それは、店長が赴任してから、わりと早い時期に社員の間で噂になった。 そのため、社員でそのことを知らない人はいなかった。 もちろん、彼が問題児と思っているぼくも、そこまでは突っ込むことが出来なかった。
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