頑張る40代!plus

2004年11月22日(月) 左遷(3)

それからさらに数日後、いよいよその日はやってきた。
会議の場で、店長が新プロジェクトを発表した。
何でも、精鋭を選って、外販部隊を作るというのである。
「今夜、その精鋭たちに内示しますから」
そう言って、会議は終わった。

その夜、ぼくの売場に電話が入った。
店長一派の課長からだった。
「しんたか、ちょっときてくれ」
ぼくは『もしかしたら』と思いながら、事務所に行った。
そこには店長以下のお歴々がいた。

店長はニヤニヤしながら口を開いた。
「しんた君、おめでとう」と言う。
「えっ?」
「朝話したろ。今までの戦績をいろいろ調べたんやけど、いろいろなキャンペーンで、君はいつも優秀な成績を収めとるねえ。それで、君が外販部隊に一番向いているんじゃないかと思ってね」
「異動ですか?」
「そう」
「断れんのですかねえ」
「何で断るんだ。君の力を見込んでのことなのに。今回の人事はあくまでも、適材適所という観点からやったことだから、光栄に思ってくれないと。君に期待がかかってるんだ。頑張って」

内示後、社内ではその内示についての噂が、いろいろと流れた。
どれもいい噂ではない。
「今回の人事は、店長から疎まれた人たちが対象になったようだ」といったものだった。
中には、「やっぱりしんちゃんも入っとったなあ」という声もあった。

内示を受けてから一週間後、全体朝礼で人事の発表があった。
「今回、新規プロジェクトとして、外販部隊を立ち上げることになりました。それに伴って若干名の人事異動を行いました」
と言って、店長はその一人一人の名前を読み上げた。
外販部隊には、ぼくを含めて4人の人間がいた。
なるほど、店長が読み上げた名前を聞くと、「疎まれた」人間ばかりだった。

外販部隊の部屋は店長室の隣に用意された。
全体朝礼後、そこに疎まれた人間は集合した。
部門の朝礼に出席した店長は、「君たちは精鋭だ」を繰り返し言っていた。
そのあと、その部門の統括責任者となった店長の腹心の一人が、外販部隊の概要や方針を説明した。
その中で責任者が口を酸っぱくして言っていたのが、「外販という名の通り、君たちの職場は外です。営業時間中に店の中をウロウロするようなことがないように」ということだった。
つまり、「おまえたちは邪魔だから、店の中に入ってくるな」ということである。
それこそが、今回の人事の本当の趣旨だった。
「それがいやなら辞めろ」というのが店長の腹だったのだろう。

新規プロジェクトとはいえ、店長がゴミと思っている人間の集まる部門だったから、予算などあるわけもなかった。
顧客リストもなければ、外販用のカタログもない。
さらには名刺も用意されてないのである。
しかも、営業の足となる車は、4人に対し2台与えられただけだった。
これで、いったいどこを回れと言うのだろう。

責任者が概要を説明したあとで、店長は「じゃあ、頑張ってきてくれ」と言って、ぼくたちを店外に追い出した。


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