頑張る40代!plus

2004年11月20日(土) 左遷(1)

前の会社での話である。
3代目の店長が就任して1ヶ月ほどたった頃だった。
就業規則で昼食時間は1時間と書いているのにも関わらず、新店長は「休憩時間のとりすぎじゃ」と言って、勝手に45分に変えてしまった。
それを全体朝礼の時に発表したのだが、当然のように場がざわめいた。
それもそのはずである。
その頃、社員食堂はすでになく、弁当を持ってきてない人は、みな外食をしなければならなかった。
外に出て、食べるところを決めて、食べるものを決めて、注文して、出来上がるのを待って、食べて、お金を払って店を出て、会社に戻るのである。
ただでさえ人の多く集まる繁華街である。
こちらが昼食をとる時間帯は、どこの食堂も満員なのだ。
そういう状況下、たった45分で食事をすませるということは至難の業であった。
みんなが騒ぐのも、無理もないことだった。

それを聞いて一番頭に来たのがぼくだった。
ぼくも外食組だったので、45分にされては困る一人だったのだ。
「黙っていては、新店長の思いどおりになってしまう」と思ったぼくは、さっそく口を開いた。
「ちょっといいですか?」
「はい、どうぞ」
「これまでの就業規則では、昼食時間は1時間と明記してありましたよねえ」
「・・・」
「どうして、それをどうして変えるんですか?」
「い、いや、ちゃんと就業規則には45分と書いてある」
「おかしいですねえ。どこに書いてますか?前の店長の時には、ちゃんと1時間となっていたはずですが」
「それはその…」
新店長の決めごとを発表した店長一派の課長は、口ごもってしまった。

結局収拾がつかなくなり、「その件については見直す」ということになった。
朝礼後、他の社員からは「しんた、よく言った」と拍手されたものだった。
ところが、それを苦々しく思っていた新店長一派は、急にぼくに対する態度を変えた。

さっそくその夜、ある課長が「しんた君、今日のはやりすぎじゃないか」と言ってきた。
「そうですかねえ。ぼくはそうは思いませんけど」
「いや、確かに君の意見は正しいと思う。しかし、あの場で言うことじゃない」
「あの場で言わなかったら、どこで言うんですか?」
「朝礼後とか、いろいろ言う場所があったろう」
「ないです」
「・・・。まあいい。でも、君は朝礼の場を乱したんだ」
「そうですかねえ」
「そう。それが今問題になっとる。今から店長のところに行って謝ってこい」
「何で謝らなきゃならないんですか?」
「形だけでもいいから、謝ったほうがいい」
「いやです」
「じゃあ、謝らんでいいけ、とにかく行ってこい。朝礼のことをわびて、自分の意見を曲げんなら、そう言えばいい」
「何で行かなならんとですか」
「いいけ、来い」
課長はぼくの手を引っ張って、店長室の前まで連れて行った。


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