| 2004年11月06日(土) |
拓郎のコンサートでの話(1) |
十数年前、その頃ぼくは、よく拓郎のコンサートに行っていた。 あるコンサートでのこと、あまりの音の大きさに、耳の中が真っ白になってしまったことがある。 耳の中が真っ白と言っても、別に耳に白カビが生えたわけではない。 耳の中で「シー」という音が鳴っていたのだ。 そのことをぼくは「耳の中が真っ白」と言っていたのだが、それをあまりに頻発するので、仲間から「耳の中が真っ白は、もういい」と言われた。
実はそのコンサート、ぼくはただで入ったのだ。 当時ぼくは、会社でCD部門の担当をしていたため、フォーライフレコードを扱っている取引先が、ぼくが拓郎ファンだということを知って招待したのだった。 担当はKさんという人だった。 せっかちなKさんは、その招待話をぼくにしてから、すぐに具体的な打ち合わせをはじめた。 「えーと、開場は何時だったかなあ。ああ、6時だ6時。その時間に入口付近にフォーライフ関係の人がいるはずですから、その人に言ってぼくを呼んで下さい。すぐにそちらに行きますから。6時ですからね。」 「わかりました。6時に入口ですね。それとお願いなんですが、招待は一人しかだめなんかねえ。もう一人熱烈なファンがおるんやけど…」 「かまいませんよ。特別席だから少しは空きがあると思いますから」 そこで、ぼくは同じく拓郎ファンである取引先の人間を連れて行くことにした。
拓郎のコンサートに行ける、それもただで。 それだけでぼくは充分だったのだが、Kさんはさらに、 「ああ、その日はしんたさんにビッグなプレゼントがあるんですよ」 「プレゼント? 「ええ、実はここだけの話なんですけど、コンサートの終了後に、拓郎さんのレセプションがあるんですよ。そちらのほうにもしんたさんを招待することになっています。ふだんはレコード業界とかマスコミ関係の人しか入れないことになってますから、これはビッグですよ」 「ええっ!?そうなんですか」 「はい、もう拓郎さんにも、しんたさんのことは伝えていますから」 当時ぼくは30代前半、拓郎のファンになってから15年以上の時が過ぎていたが、本人をコンサート以外で見たことはない。 そういうことだから、もちろん話もしたこともない。 ぼくは「こんな感動的なことはない」と、コンサートの日を指折り数えて待ったものだった。
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