【今週の日曜日のこと】 某大手都市銀行のカードを拾った。 いつものように電話をかけ、落とし主の名前とカード番号を言った。 「はい、わかりました。では、明後日火曜日に、北九州支社のほうから連絡させます。失礼ですがお名前は?」 「しろげしんたといいますが、あいにく火曜日は休みなもんで…。ああ、サービスカウンターに預けておきますんで、そこに繋いでもらってください。わかるようにしておきますから」 「はい、わかりました。では火曜日、御社のサービスカウンター宛に連絡させますので、それまで大切に保管しておいてください」 ぼくは拾ったキャッシュカードをサービスカウンターに持って行き、その旨をメモに書いて、そにいた人たちに説明をしておいた。
水曜日になった。 会社に行ってすぐに、店長が「昨日、しんたさん宛に某大手銀行から電話があったよ」と言った。 「あ、じゃあサービスカウンターに繋いでもらったんですね」 「えっ?先方は、サービスカウンターに繋いでとも何とも言わんかったよ」 「え、そうなんですか?」 「うん。『じゃあ、明日また電話しますから』と言って切ったけねえ」 「あれだけサービスカウンターに繋いでくれと言っておいたのに…」 しかたなく電話を待つことにした。
当然朝一番に電話がかかるものと思っていた。 ところが、昼近くになっても電話はかかってこない。 その日は朝から忙しかったので、『もしかしたら、いない時にかかってきたかも』と思い、サービスカウンターに行って、「電話、こちらにかからんかった?」と聞いてみた。 だが、かかってはなかった。 昼からは倉庫に籠もらなくてはならない。 そうなると、電話がかかってもわからない。 ということで、こちらから電話をかけることにした。
「もしもし、こちら○○店と言いますが…」 「はい、お世話になります」 「キャッシュカードを拾った件で、そちらから電話をもらうようになっていたんですが」 「ああ、しろげさんですね」 「はい」 「昨日はお休みだったでしょ?」 「はい、火曜日は休みだと最初から言ってありましたが…」 「そうなんですか」 「それで、サービスカウンターに連絡してくれと言っておいたんですがねえ」 「そうでしたか。それは聞いてませんでした。ははは」 横柄な物言いをする、感じの悪い男だった。
「で、カードの件なんですが、お客さんに連絡してみたんですがいらっしゃらないんですよ」 「そうですか。で、このカードはどうしたらいいんですか?」 「ああ、カードですねえ…。じゃあ、送ってもらいましょうか」 「え、送るんですか?」 「ええ、そうして下さい」 「送ると言ったって、書留か何かで送らないとまずいでしょ?」 「いや、カードのほうはロックをかけてますし、書留だと、そちらに負担がかかるでしょ?」 「普通郵便で送れということですか?」 「ええ」
無茶苦茶な銀行である。 『大切に保管しろ』と言ったくせに、送るのは『普通郵便』である。 その普通郵便も『書留だとそちらに負担がかかるから』という理由だ。 普通郵便だって負担がかかるのだ。 たかだか80円だが、それだってこちらの経費なのだ。
そこで、ぼくは「佐川急便とかじゃだめなんですか?」と聞いてみた。 着払いで送ってやろうと思ったのだ。 ところが彼は、「いや、普通郵便でいいですよ」と言う。 いったいどういう感覚をしているのだろう。 キャッシュカードのような大切な物の場合、先の郵便局のように、銀行のほう取りに来るのが普通である。
おそらくこの銀行の人たちも、どっぷりと大企業のぬるま湯につかっているのだろう。 つまり、『お客さん以外はみな業者』という感覚である。 彼のそういった感覚に、ぼくはかなりムカついたが、それを落とした人はきっと困っているはずだから、一刻も早く手元に届けてやろうと思い、先方の言うとおり普通郵便で送ることにした。 もちろん「腐っても大手銀行だから、きっと80円の切手を戻してくれる」という期待を込めてである。 まあ、送ってこなければ、ここでその銀行の名前を公表するだけのことだ。 今日でカードを送ってから2日目。 公表までのカウントダウンは、既に始まっている。
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