オリンピックの野球を見ていてふと思った。 もちろん日本に勝ってもらいたいのだが、そういう思いより、ひいきのチームの選手に活躍してもらいたいという思いのほうが強いのだ。 それはオールスター戦の時とよく似ている。 ぼくの場合のひいきのチームは地元の福岡ダイエーホークスだが、城島や和田の活躍が、他のどの選手の活躍よりもうれしい。
それは昨日の体操でもいえることだ。 富田や塚原という実力ある選手がいるものの、やはりテレビでは最年少の中野選手を追ってしまう。 彼は現在、うちの近くにある九州共立大体操部に所属しているのだ。 昨日の金メダル獲得で、地元の百貨店井筒屋にはきっと『中野選手、金メダル獲得おめでとう』の垂れ幕が出るはずだ。
地元のメダリストといえば、メキシコ大会の時にマラソンで銀メダルを獲得した君原健二選手がいる。 実は、ぼくはこの君原選手と競争したことがあるのだ。 と言っても、こちらが一方的にそう思っているだけで、君原さんはぼくのことなんか知らないだろうが。
新日鐵勤務していた頃の君原選手は、社宅から会社までマラソン通勤をしていた。 その通勤途上にぼくの通った高校があった。 高校時代ぼくは柔道部に所属していたのだが、その練習中、窓の外を一人のおっさんが人が走っていた。 それを見ていた部員の一人が、「おい、あれ君原やないんか?」と言った。 「え、君原!?」 ぼくたちは練習そっちのけで、外に飛び出し、君原を追いかけた。 が、ぼくたちがその途上に出た時には、君原選手はすでに遙か彼方を走っていた。 数百メートルほど全力疾走で追いかけたのだが、その差は広がっていくばかりで、最後には君原選手の姿は見えなくなった。 「くそー、今度は負けんわい」と思ったが、それ以降その時間に君原選手を見ることはなくなった。
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