| 2004年08月01日(日) |
『ヨン様』と呼ぶな! |
会社の帰り、ぼくはいつも実家に寄っている。 嫁さんの帰りがいつも遅いから、そこで時間をつぶしているのだ。 実家に行けば、晩飯のおかずを調達できるし、少なくともジュースは出るので空腹を紛らわせることが出来る。 実に重宝である。
ところで、なぜぼくが嫁さんを迎えに行っているのかだが、嫁さんの会社の周りには駅やバス停がない。 しかも、嫁さんは運転免許を持っていない。 だからぼくがいつも迎えに行っているのだ。
普通は9時半頃に電話が入り、それから迎えに行くことになる。 家に戻るのは、だいたい10時過ぎになる。 昨日は特別遅かったから、家に着いたのは11時を過ぎていた。
今日は昨日とうって変わり、ぼくが実家に戻ってからすぐに電話が入った。 「仕事終わりました。お迎えお願いします」 さっそくぼくは迎えに行った。 まだ、おかずの調達をしてなかったので、嫁さんを連れてもう一度実家に行った。
母と嫁さんは、割と仲がいい。 基本的によく似た性格をしているので、きっと分かり合える部分があるのだろう。 が、一番大きな要因は、母が男のぼくを見限っているというところにある。 ぼくが独身時代、よく母は「子供は女に限る。男は何も役に立たん」と、母の友人たちにこぼしていた。 そのため、ぼくが結婚した時の喜びようと言ったらなかった。 それ以来、母は何かあると、嫁さんだけを呼んで食事したり、買い物に行ったりしている。 母は嫁さんのことを人に紹介する時、決して「息子の嫁です」とは言わない。 「娘です」と言って紹介しているのだ。
さて、今日のこと。 実家に戻ってから、ぼくは腹が痛かったので、すぐにトイレに駆け込んだ。 しばらくして、トイレから出てくると、母と嫁さんが何やら盛り上がっている。 何の話かと思って聞き耳を立てていると、どうやら『冬のソナタ』の話のようだった。 母と嫁さんは、二人とも冬ソナにハマっているのだが、一度冬ソナを見ている嫁さんが、母にその後の展開を教えていたのだ。
「ちっ、また冬ソナか」 話について行けないぼくとしては面白くない。 そこで、試しに「あんな松尾貴史みたいな顔した奴が出とるドラマのどこがいいんね」と言ってみた。 すると、二人は声を荒げて「ヨン様のどこが松尾貴史ね」と言った。 「何が『ヨン様』か。『ペ』で充分たい。『ペ』で」 「ヨン様はヨン様やんねえ」と二人は顔を見合わせて言った。 もはや二人は、冷静さを失っているようである。
どうでもいいけど、早くしてほしい。 ぼくは腹が減ってたまらないのだ。
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