ということで、今日嫁さんを連れだって期日前投票に行ってきた。 最初は区役所に行こうと思ったのだが、そこの駐車場は入りにくいので、家の近くにある区役所の出張所ですませることにした。 ところが、今日はその出張所の駐車場が満車状態だった。 さんざん待たされたあげく、やっと駐車場に停めることが出来た。 が、まさかそれが期日前投票のためだった、とは思わなかった。 投票会場である二階に上がってみると、投票を待つ人の列が出来ていた。
待っている時、嫁さんが小声で「私、誰に入れるか決めてないっちゃね」と言った。 そこでぼくは、「バカかおまえは。今頃何を言いよるんか。それなら、民主・公明・社民・共産以外の人に入れとけ。売国党なんかに入れんでいい」と小声で言った。 そのやりとりが聞こえたのか、ぼくたちの後ろに並んでいた人が「ふふふ」と笑っていた。
ようやくぼくたちの番になった。 受付に入場整理券を差し出すと、受付は一枚の紙をくれた。 そこには『宣誓書』と書いてあった。 受付の人は、「そこに住所と名前を書き込み、選挙当日に行けない理由の欄に○をつけて下さい」と言う。 当日投票では生年月日を聞かれるのだが、期日前投票ではそれがない。 そのかわりに、住所や名前を宣誓書に書くのだという。 しかし選挙で住所や名前を書くのは初めてである。 なぜか緊張してしまって、番地を間違えるところだった。 それを書いている時、女性の係員が見て回っていた。 宣誓書にはそんなに難しいことは書いてないので、ただ見て回るだけでよさそうなものだが、その係員は違っていた。 一人一人に「どういう理由で行けないんですか?」と尋ねているのだ。 もちろんぼくのところにもきた。 ちょうど住所を書き終わり、「さて、理由を書こうかな」と思っていたところだった。 頭の上から「どういう理由で行けないんですか」と言う声がした。 見上げてみると係員である。 「仕事で行けないんですけど」とぼくが答えると、係員は「じゃあ、そこに○をつけて下さい」と言う。 ぼくが○をつけると、係員は、 「そう、それでいいんです」と言う。 そんなこといちいち言わなくても、見たらわかることじゃないか。 何が『そう、それでいいんです』だ。 さすがはお役所である。 やることなすこと癇にさわる。
さて、書き上げた宣誓書と入場整理券を再び受付のところに持って行くと、「今回は2回投票しますので、まずそちらに行って下さい」と言う。 最初は選挙区のほうだった。 そこでまた係員の説明が入る。 「こちらの用紙に支持者の名前を書き入れて、そちらの投票箱に入れて下さい」 (いちいち言わんでもわかるわい と思いながら、ぼくは名前を書き入れた。 そして投票箱に持って行こうとすると、今度は「はい、こちらに入れて下さい」である。 それからまた、「じゃあ、次は比例代表です。こちらの用紙に名前か政党名を書き入れて、そちらの投票箱に入れて下さい」という説明が入る。 政党名を書き入れて振り向くと、また「それはこちらです」という説明。 もううんざりだった。 投票箱に用紙を入れ、そこから立ち去ろうとした時だった。 「はーい、出口はこちらですよー」という声がした。 どうやらぼくに言っているらしい。 周りを見回しても、立っているのはぼくしかいない。 ぼくは頭を掻きながら、しかし憮然とした顔をして、投票場を出たのだった。
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