ふと思ったことだが、ぼくは生まれてこの方、ずっとエッセイを書いてきたような気がする。 生まれてこの方、というのは大げさだが、その日常がずっとぼくの記憶の中に留まって、それが、ある時は文章となり、ある時は詩となり、またある時は歌という形になっていったのだ。
文章はわかるが、詩や歌というのは違いじゃないか、と思われるかもしれない。 だが、どうもぼくの詩や歌というのは、エッセイとしか思えない部分が多々ある。 別にそういうことを意識して、詩や歌を書いてきたわけではないのだが、振り返ってみれば、ぼくの書いたものは想像の産物ではなく、すべて日常に即した日記的なものばかりだ。
作曲もそうだ。 長い間、意識的に聴いたり、無意識に耳の中に入ってきた音楽が自分の中で熟成され、何気ない日常生活の中で、ポツンポツンとちょっとずつイメージとして落ちてきたに過ぎないのだ。 あとは曲作りの経験で、一つの曲としてまとめ上げただけの話だ。 文章を書くのと、何ら変わらないことだ。 つまり、表現方法こそ違うものの、それらはすべてエッセイだということである。
そういうことに気がついたので、今日から、何でもいいからエッセイしてみようと思い立った。 想像ではなく、自分のたどってきた道を表現するだけのことだから、あとはそういうものをうまくまとめるだけの話である。 「こんな楽なことはない」と、さっそく身の回りにノートやギターを用意した。 ところが、いざそういうものを目の前にすると、何も出てこないものである。
しかし、焦ることはないんだ。 最近ぼくの手相に、創造線がくっきりと現れてきている。 おまけに、運命線もいい状態に伸びてきている。 おそらく、運命はぼくに、エッセイする能力を授けてくれたのだろう。 そう思うことにしよう。 そう信じることにしよう。 そうでないと、ぼくはただのしがないサラリーマンで終わってしまう。 そういう生き方を、ぼくは望んでないのだ。
運命が後押ししてくれる。 そう信じて、あとは好きなだけエッセイしていこう。 さあ、エセッイ人生の幕開けだ。
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