頑張る40代!plus

2004年03月09日(火) 西から風が吹いてきたら(その後)

『西から風が吹いてきたら』を書いた後、しばらくしてから、ぼくは北九州に戻ってきた。
3月23日だった。
その日をなぜ覚えているのかというと、その日が東京時代に一番仲の良かった友人の誕生日だったからである。
とは言うものの、別にその日に友人の誕生祝いをしてから、こちらに戻ってきたわけではない。
ただ、羽田を発つ時、「ああ、そうか。今日はあいつの誕生日だったなあ」と、思い出しただけである。

東京を離れる時、別にこれといった感傷はなかった。
「さあ、東京シリーズは終わった。次のステップだ」と思ったくらいだ。
何に対してのステップかというと、当時はもちろんミュージシャンへのステップだった。
地元で働きながら、チャンスを狙おうと思っていたのだ。
当時、福岡には、いくらでもチャンスが落ちていた。
東京でかなえられなかった夢も、地元なら何とかなるのではないか、と甘い夢を見ていた。
しかし、それは確かに甘い夢だった。
なぜなら、その後いろいろとチャレンジしたが、一つもものにならなかったのだから。

さてその日、福岡空港に着いたのは午後3時頃だったろうか。
『西から…』の歌詞どおり、その日の福岡は晴れていた。
その晴れた空を見て、将来が輝いているように感じ、「これから新しい人生が始まるんだ」と、喜び勇んで家に帰ってきたものだった。

家に帰ってから、1週間ばかりは、地元にいる安心感からか、充実した生活を送っていた。
いくら大きな音でギターを弾いても、下宿にいた頃のように咎められることはないから、ギターやハーモニカでガンガンやったものである。
その時期に、ぼくは一つの歌を作った。
内容は大したことないのだが、『西から風が吹いてきたら』の返答歌になっている。


 『さわやかな春の日に』

 さわやかな 春の風
 懐かしい 海の香り
 ぼくは ここで暮らすよ
 そばに聞く 君の声と

 少しだけ 大人の君と
 少しだけ 子供のぼくと
 小さな 家を建てよう
 二人だけの 家を

  華やいだ 春の夢
  駆け回る 雲の上を
  君とぼく 二人だけで
  他にはもう 誰もいない

 暖かな 春の陽よ
 やさしく つつんでおくれ
 君をもう 離さないから
 やさしく つつんでおくれ


しかし、現実は厳しかった。
帰ったはいいものの、肝心の仕事がない。
1週間ほど骨休みをした後、ぼくは就職活動に奔走した。
が、3月の末に転がっている仕事なんて、ろくなところはなかった。
ほとんどが営業ばかり、それも家や土地の販売だ。
「そんなもの、よう売りきらん」と思って、最終的に探し当てたのが、長崎屋だった。
東京から帰って、およそ3週間後、4月の中旬のことだった。


 < 過去  INDEX  未来 >


しろげしんた [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加