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2004年03月03日(水) 『くまってます』

先日、嫁さんのもとに一通の封筒が届いた。
嫁さんの出身高校からのものだった。
中身を読ませてもらうと、「卒業生名簿を作りたいのだが、消息のわからない人がいます。もし知っている方がいましたらお知らせ下さい」と、いうようなことが丁寧に書いてあった。
その消息不明の人の名前が羅列してあったが、けっこう多数いる。
ぼくが、「お前んとこ学校は、行方不明者が多いのう」と言うと、嫁さんは「しかたないやん、女子高なんやけ。結婚したら家を出るし、もし実家が引っ越しでもしていたら、わからんようになるやん」と言った。
なるほど、そのとおりだ。

そういえば、10年ほど前だったか、ぼくの出身校の同窓会本部から、同じような手紙が届いたことがある。
ぼくの高校は共学だったため、さすがに女子高よりは消息不明者が少なかった。
ただ、その時の文書は、嫁さんの学校のように丁寧なものではなく、何とオヤジギャグが書かれてあった。
熊のイラストが書いてあり、その熊に「行方がわからないくて、くまっています」と言わせていた。
『くまってます』である。
ぼくはこれを見た時、急に不機嫌になったのを覚えている。

『くまってます』
こういうのはやめてほしい。
同じ時期を同じ空間で過ごしてきた者にとって、このギャグは実に寂しい。
こんなダジャレを書くくらいなら、真面目に書いたほうがましである。
おそらく、『くまってます』を考えついた人の中では、大ヒットだったのだろう。
思わず声を上げて笑ったのではないだろうか。
「これで笑いを取れるぜ〜」とでも思ったのではないだろうか。
しかし、結果はぼくを不機嫌にさせた。
いや、ぼくだけでなく、多くの人が、この『くまってます』で不機嫌になったはずである。

在学中に先輩から聞いたのだが、ぼくたちの高校は、周辺の高校に比べると、ギャグのセンスが高いということだった。
その時は、何を言っているのかよくわからなかったが、卒業後にそのことを充分にぼくは理解した。
他の高校出身者のギャグでは、笑えなかったのだ。
おそらく、それを感じたのは、ぼくだけではなかっただろう。
それなのに、『くまってます』である。
おいおい、伝統を汚すなよ、である。

こういう文書の中で、もしギャグを入れるなら、もっと気の利いたものにしてほしい。
充分に練ったギャグでないと、ギャグセンスの高いOBは納得しないぞ。


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