『夢のいたずら』
「君を愛してる」と言いかけた時 いつも同じように、終わる君の夢 言い出せなかった、大きな悔いが いつまでも残る。あの若い日は、 先へと進まない いつもいつも、途切れた映画のように 後味悪い、夢のいたずら
朝の目覚めは、夢を引きずって 力の入らない、一日の始まり あの頃君は、ぼくのことを どう思ってたのか、知りたくなって、 想い出を訪ねる いつもいつも、過去に縛られていく もう戻れないことも忘れて
言い出せなかった、大きな悔いが いつまでも残る。あの若い日は、 先へと進まない いつもいつも、途切れた映画のように 後味悪い、夢のいたずら
先日の日記書いたが、30代前半に作った歌である。 その当時、高校時代に好きだった人に、まだ潜在的な未練を持っていたのか、よく彼女の夢を見たものだった。 その内容はこの詞にあるとおりで、「おれ、お前のことが…」と言いかけた時に終わってしまうのだ。 あまり頻繁に、そういう夢を見るので、「もしかしたら、彼女のほうが、何かぼくに訴えたいことがあるんじゃないか」と期待したほどである。 しかし、現実には何も起こらなかった。 結局、いつの間にかそういう夢は見なくなり、ぼくの描いたドラマは、はかなくも想像だけに終わってしまった。
昔の人は、好きな人が夢に出てきたら、相手も自分のことを思ってくれていると判断したらしい。 万葉集の防人の歌などに、そういうことが書いてあった。 それを読んだ時、「ああ、そうだったのか!」と信じたものだった。 ところが、あまりに多くの女性が夢に出てくる。 その中には好きでもない人もいる。 いや、好きでない人がほとんどだ。 結局、「好きでもない人が出てくるのはおかしいし、こんなに多くの人に思われているはずもない」と思い至り、馬鹿らしくなってそういう考えを捨てることにした。
小さい頃は、よく空を飛んでいる夢を見たものだ。 それで、ぼくは空を飛べるものだと思ってしまった。 試しに、2階の階段から飛んでみたことがある。 一瞬体が宙に浮いたように思えた。 が、飛べなかった。
最近は、念力を使う夢をよく見る。 手も触れずに、コインを曲げたり、悪党を倒したりやっている。 夢から覚めたあと、ぼくはそういう念力を以前から使っていたように錯覚するのだ。 ぼおーっとした意識の中で、手を振ったり、指をひねったりやっている。 それを見ていた嫁さんが、「何しようと?」とぼくに声をかける。 それでやっと目が覚めるのだ。 まあ嫁さんだからいいようなものの、これが他人だったら、その人は一生ぼくを変な目で見ることだろう。 もしかしたら、こういうことも、夢のいたずらなのかもしれない。
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