2004年02月22日(日) |
ギター生活復活(上) |
朝起きてから家を出るまでギターを触り、家に帰ってから食事までギターを触り、風呂を上がってから寝るまでギターを触る。 何を置いても、ギターギターギターだった。 もちろん勉強などは一切やらない。 勉強よりも、ギターの練習や作詞作曲のほうが大切だった。 高校に入ってから就職するまでの8年間、ぼくはずっとこんな生活をしていた。
ところが、就職してからは、こんな生活が出来なくなった。 とにかく帰りが遅い。 そのため、ギターに触りたくても、ギターを触る時間が持てないのだ。 そのせいで、次第に左手の指先は軟らかくなり、それに連れて握力もなくなっていった。 そのせいで、休みの日にギターを弾いても、指は動くものの、音がはっきりと出なくなった。 それが歯痒くて、そのたびに「これからは毎日ギターを弾くぞ!」と決心した。 しかし、仕事の日は、また時間に追われる。 そういうことが何度か続き、そのうち音楽に対する情熱がだんだん薄れていった。 つまり、休みの日にもギターに触ることがなくなったということである。
30代に入った頃だった。 高校時代の友人が「あるスナックのママさんにしんたの話をしたら、『ぜひ弾き語りを聴いてみたい』と言うんよ。一回そこで歌ってくれんやろうか」と言ってきた。 その頃は、すでに音楽への興味はまったくなくなっており、オリジナル曲は、歌詞すらも忘れてしまっていた。 「おれ、もうオリジナル歌えんよ」 「別にオリジナルじゃなくてもいい。拓郎でも何でもいいけ」 ということで、ぼくは拓郎を歌いに、そのスナックに行くことになった。
歌うのは、その話があった日から数えて、一週間後だった。 歌はともかくも、弾き語りという以上、ギターの練習をしなければならない。 あいかわらず仕事に追われる毎日だったが、寝る時間を減らして、ギターの練習に励むことにした。 が、指がヤワになっていたせいで、なかなか往年の演奏が出来ない。 ここでも握力が問題になった。 とにかくはっきり音が出ない。 そこで、スポーツ店でハンドグリップを買ってきて、仕事の合間に握力を鍛えることにした。 しかし、一週間という時間は、復活するのには短すぎた。 結局、握力は元に戻らなかったのだ。 指先も久しぶりにギターを弾いたせいで、ちょっと触れただけでも痛みを感じる。 「こんなことで大丈夫なんだろうか?」と、焦りを感じながら、一週間は過ぎた。
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