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2004年02月21日(土) 創氏改名は面白い

昨年、「当時、朝鮮の人たちが日本人のパスポートをもらうと、名前に『金』などと(朝鮮名が)書かれ、それを見た満州の人たちが『朝鮮人だな』といって、仕事がしにくかった。朝鮮の人たちが『(日本式の)名字をくれ』といったのが創氏改名の始まりだ」という、麻生(太郎)発言が問題になった。
例のごとく、韓国側から抗議が出た。
が、そのせいで麻生氏が失脚することはなかった。
なぜなら、これが真実だからだ。

「内鮮一体じゃないか。日本名をくれ」と多くの朝鮮人や台湾人が言うので、最初は渋っていた日本政府も、結局折れて、昭和15年「じゃあ、そうして下さい」と政令を出した。
そのとたん、多くの人たちが我先にと役場に走ったという。

とはいえ、この創氏改名は、なかなか面倒なものだったという。
役所仕事なので、当然時間がかかる。
特に、朝鮮の場合は姓と氏を分けたため、手続きにはかなりの時間を要したという。
例えば、金さん(夫)と朴さん(妻)という姓の夫婦が、創氏改名で田中という氏を届けたとする。
当然、夫婦ともに氏は田中になるのだが、姓である金と朴はそのまま戸籍に残さなければならなかった。
そのため、戸籍上、夫は「田中(金)某」と妻は「田中(朴)某」としなければならなかった。
朝鮮の伝統文化を尊重したがために、こんなややこしいことになったのだ。

以上が創氏で、もう一方の改名は、裁判所の許可が必要で、その手数料は一人50銭必要だったらしい。
だから、当時の朝鮮では、約80%の人が創氏を行ったらしいが、改名のほうは、それほどではなかったという。

しかし、考えてみればうらやましい話である。
自分の名前を自分で作ることが出来、なおかつ、それが公的に通用するのだ。
例えば『しろげしんた』という名前だが、これはネットだけで通用する名前で、「この名前が好きなので、この名前で運転免許証を作ってくれ」と言っても、誰も取り扱ってはくれない。
しかし、当時の朝鮮や台湾では、これが出来たんだな。
本当にうらやましい。

当然のことながら、現代の日本では、本名以外の名前を、公的に使用することは許されていない。
許されているのは、通称名という狭い範囲だけで通用する名前だけだ。
『しろげしんた』といったハンドルネームや、芸名、ペンネームもこの中に含まれる。
その名前が一般的になった場合、裁判所に申請すれば改名することが出来るようになっている。
が、それは名だけで、氏のほうは出来ない。
だから、『しろげしんた』という名前は、永遠に公的にはならないということになる。

ところで、このペンネームや通り名というのを考えるのは、実に楽しいものだ。
いろいろな自分像を、その名にかぶせることが出来る。
ぼくは、元々本名を使うのが嫌いだから、その時々で、こういう人間でありたいという希望を添えて、通称名を考えてきた。
が、なかなかその名前を使う機会がないのだ。
これまで、通称名で呼ばれていたことは、東京時代と出版社で働いていた時くらいしかなかった。
詩の投稿や、音楽のオーディションを受けた時は、本名を書く規約になっていたため、せっかく考えたペンネームや芸名も無駄になった。

今ぼくは、大変気に入った名前を一つ持っている。
出来たら公表したいと思っているのだが、なかなかその機会がない。
機会がないから、自分の中だけで、その名前を使うことにしている。
政府は、創氏改名を許してくれんかなあ。


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