頑張る40代!plus

2004年01月30日(金) 交番(下)

店に帰って1時間ほど経ってから、ぼくの携帯電話が鳴った。
「誰からだろう?」と電話をとってみると、例の警官からだった。
「あ、しんたさんですか? こちら○○交番ですが、携帯電話の落とし主が見つかりました」
「ああ、それはよかった」
「で、さっき書類のコピーをあげたでしょう。それ持ってきてもらえませんか?」
「え、今からですか?」
「今、来られませんか?」
「もう抜けられませんから」
「そうですかぁ…」
「今日じゃないといけないんですか?」
「いえ、いつでもいいですよ」
「じゃあ、明日にでも…」
「ああ、交番は24時間開いてますから、夜でもかまいませんよ。今日来てもらえますか?」
「今日ですかぁ…。仕事が終わってからでもいいんですか?」
「はい、かまいません」

電話を切った後で、ぼくは思った。
「家の電話番号は教えたけど、携帯の電話番号は教えてない。何でわかったんだろう? ‥‥あっ、もしかしたら」
ぼくは家に電話をかけてみた。
「はい」
妻の声だ。
仕事が早く終わって、もう帰っていたのだ。
「おい、さっき警察から電話がなかったか?」
「ああ、あったよ」
「で、携帯番号、教えたんか?」
「うん。『会社に電話したらいいでしょ』と言ったんやけど、しつこく聞くんよ」
やはりそうだったか。
妙に真面目すぎる警官だったから、そんなことだろうと思っていた。

そういうわけで、ぼくは帰りに遠回りをしなければならなくなってしまった。
書類を届けに行くと、さっきとは別の警官がいた。
「あのう、これ持ってきました」
「ああ、そうですか。それはありがとうございました」
手続きにあれだけの時間がかかりながら、最後は実に素っ気ないものだった。

家に帰ってから、いつも携帯電話の着信履歴やメールを見直している。
必要な人の電話番号やメールアドレスを登録し、ワン切りや迷惑メールを削除するためである。
「さて、これをどうしようか?」
そう、110番である。
消すべきか、否か?
さんざん迷った末、結局残しておくことにした。
警察からの謝礼だと思うことにしたからである。


 < 過去  INDEX  未来 >


しろげしんた [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加