2004年01月23日(金) |
ドキュメント1.22(中) |
台風と同じように、降雪の翌日というのは、だいたい晴になる。 朝方、いくら雪が地面を真っ白に覆い尽くしていても、昼頃にはもう半分以上が溶けてしまっているものだ。 北国のことは知らないが、九州で降る雪というのは、所詮こんなものである。 ところが、今回の雪は様子が違う。 天候はいつまでたっても優れないし、雪もなかなか溶けてはくれない。 いや、溶けるどころか、昼過ぎから逆にそれは固まりだしてしまった。 夕方には、白くなっている所以外、つまり地面の見えている部分は、ほとんどが凍結していた。
さて、夜になった。 帰りも当然JRである。 そのJRに乗るためには、まず駅まで行かなければならない。 「さて、どうやって駅まで行こうか?」 会社から駅までは、3キロほど離れている。 バスがないわけではない。 だが、ダイヤが乱れているとテレビで言っていたから、予定どおりは来ないだろう。 そんないつ来るかわからないものを、寒空の下でじっと待つなんて、ぼくには出来ない。 それに、朝も歩いてきたことだし、こういう雪道を歩く機会も滅多にあることではない。 ということで、歩いて帰ることにした。
行きは30分かかった。 が、帰りは凍結しているので、それではすまないだろう。 ぼくは慣れない雪道を、恐る恐る歩いて行った。 最初は普通どおり歩いたのだが、後ろ足が滑ってしまい、満足に歩けない。 そこで、地面を一歩一歩踏みしめるようにして歩いた。 これで後ろ足が滑ることはなくなったが、それでも心許ない。 幸い、傘を持っていたので、これを杖代わりにして歩くことにした。
しばらく歩いているうちに、あることに気がついた。 最初は、白く雪が残っている所が危ないと思って、そこを避けていたのだが、どうもそれは間違いだったようだ。 地面が見えているところのほうが滑るのだ。 「ああ、忘れていた! 地面の見えている部分は凍結しているんだった」 そのことに気づいてから、ぼくは白くなっている所を歩くことにした。
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