頑張る40代!plus

2004年01月18日(日) 力ラーメン(前編)

東京にいた頃、ぼくは食うや食わずの生活を強いられていた。
強いられていたは大げさだが、要は自分でそういうふうにしてしまっていたのだ。
原因は、ぼくの金遣いの荒さである。
バイト代や仕送りなどで、まとまったお金が入ってくると、いつも飲みに行っていた。
しかも、それは一日では終わらない。
一週間くらい続けてである。
そんな具合だったので、お金はすぐに底をついてしまった。
ひどい時には、2千円で二週間を過ごすこともあった。
そういう苦しい経験をしているのに、あいかわらずぼくは、お金が入ると飲みに出かけるのだった。

「これではいかん」と反省したのは、東京で生活を始めてから1年9ヶ月、つまり九州に戻る3ヶ月前のことだった。
とはいえ、その1年と9ヶ月の間に作った、数多くの飲み友だちとの関係を壊したくない。
しかし、そういう生活を続けていく限り、ぼくはのたれ死んでしまう。
「では、どうしたらいいか?」
ぼくはアルコール漬けになった頭で必死に考えた。

考えること一日、ようやく結論がでた。
それは、「少なくとも一日一食はしよう」ということだった。
そのためには、お金が入ったら、食料を買いだめしておくことだ。

ということで、下宿近くの西友ストアに行って、何を買いだめするかを決めることにした。
今でもそうだが、ぼくはスーパーに入ってから、まず見るのがラーメンである。
そのラーメンに当りがあった。
『西友ラーメン』というのが売っていた。
そのラーメン、他のラーメンに比べるとはるかに安いのだ。
「これは使える」
しかし、ラーメンだけでは空腹感が増すだろう。
そこで、もう一品追加することにした。

「何がいいだろう」と店内を回ってみると、そこに最適なものがあった。
『サトウの切りもち』である。
これ2切れでご飯一杯分に相当する。
「これはいい」
ラーメンと餅だけで満腹になるとは思えないが、それでも空腹感は充分に満たすことが出来るだろう。
我ながらいいアイデアだと思ったものだった。

さて、待ちに待ったお金が入った日、ぼくはさっそく西友ストアに行って、ラーメン30食とサトウの切りもち何パックかを買い込んだ。
「これで、食いっぱぐれはない」
しかし、この計画がいかに惰弱な計画であるかということを、この時ぼくは知るよしもなかった。


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