くっ、何にも出てこんわい。 長いこと日記をやっていると、こういう日もある。 何も肩に力を入れるほどのものでもないのに、日記を書く時はなぜか気負ってしまう。 きっとその気負いが、日記を書くことを難しくしてしまっているのだろう。 決して何も出てこないのではない。 「何かいいことを書いてやろう」なんて思っているから、出てこないだけである。
さて、今日、生まれて初めて額縁を購入した。 元々絵心がない上に、家の中を飾り立てるのが嫌いなたちなので、これまでそういうものに関心を寄せたことはなかった。 ところが、最近、えらく気になる画を見つけたのだ。 3日の初売りからうちの店で画入りの額縁を売っているのだが、その中にその画はあった。 仙崖禅師の禅画である。 布袋さんが寝ころんで大あくびをしている画で、他に売っていたきめ細やかな水彩画や油絵、浮世絵などと比べると、見劣りする画であるが、なぜかひょうきんで味がある。 その画を一目見て、「ほしい!」と思った。 値段もそれほど高くない。 「よし買うぞ」と、財布の中を見てみると、足りないではないか。 しかたなく、その日は買うことを見合わせた。 次の日4日は、お金を用意していたものの、そのことを忘れていた。 そして次の日、つまり今日、ようやく購入にたどり着いたわけだ。
家に帰ってどこに飾ろうかとさんざんシミレーションした。 こういうものを飾るのが初めてなので、どこに飾っていいのかがわからない。 さんざん迷ったあげく、結局玄関に飾ることに決めた。 出かける時と、帰った時に、この画を拝めるというのが、その理由である。 これからは、この画のおかげで、気負わず焦らず外に出かけられるだろう。 また、外で疲れた心を、この画が癒やしてくれることだろう。
そういえば、この部屋にもこういう画があるといいかもしれない。 いや、気負わず快く日記を書くためにも、ぜひ必要だ。 今回の売り出しでは、仙崖ものは今日買った一つだけしかなかった。 ということは、購入はまた次の機会にということになる。 ということは、その日まで気負った日記を書かなければならないということだ。 当分苦悩は続く。
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