昨日で早くも三ヶ日が終わった。 ぼくは子供の頃、いつもこの時期に悲しい思いをしていたものだった。
一つの悲しみは、テレビの年末年始特番が終わることだった。 冬休みは、クリスマス特番から始まった。 クリスマス特番が終わると、間を置かず年末特番が始まる。 紅白が終われば、正月特番の始まりだ。 正月には、ぼくが好きなお笑い番組をたくさんやってくれる。 しかし、それもだいたい3日までで終わり、その後は、通常の番組に戻る。 まあ、通常見ているアニメやドラマの続きがまた見られるようになるのはいいのだが、昼間やっているアフタヌーンショーやライオン奥様劇場などは、まったく面白くなかった。
もう一つの悲しみは、あと4日経つと、学校に行かなくてはならなくなる、ということだった。 学校に行くということは、寒い朝、暖かい布団の中にゆっくりもぐっていることが出来なくなるということだ。 寒さが大嫌いなぼくにとって、これは地獄の責め苦である。 宿題もたまっている。 当然、何もやってない。 冬休みは2週間しかないので、宿題の量はそれほど多くなかった。 おそらく夏休みなら、そのくらいの量は一日でこなせるだろう。 しかし、その一日が短い冬休みでは貴重だったのだ。 先に書いたテレビの特番や、かつて正月の定番であった凧揚げやコマなど、冬休みには楽しみがぎっしり詰まっている。 そんな楽しみを奪ってしまうような宿題に、とうてい耐えられるものではなかった。 結局、夏休み同様、冬休みの宿題も、休み内に終わらせることが出来なかった。 提出はいつも10日前後、その時の言い訳は「出来てはいるんですが、持ってくるのを忘れました」だった。 始業式の日には宿題は出なかった。 が、ぼくはみんなが外で遊んでいるのを横目に、涙を浮かべながら宿題をやっているのだった。
考えてみたら、もし今、冬休みのような長期の休みがあったとしたら、時間をもてあましてしまうだろう。 凧揚げやコマなんか当然やらない。 というより、冬場は好んで外に出ることをしない。 最近の正月特番は面白くないので、あまり見る気がしない。 かといって、ビデオを見る気もしない。 温泉旅行は金がかかる。 体を癒しに行ったのはずなのに、帰ってくると、なぜか疲れが増している。 結局は、「仕事が一番」ということになるだろう。 やはり、冬休みというものは、学生だけが楽しめるように出来ているのだろう。 もちろん、そこには悲しみという見返りもあるのだが。
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