頑張る40代!plus

2004年01月02日(金) 年越し(3)

実家まで歩く、その一歩一歩が頭に響く。
5分もあれば着く家なのに、その距離が遠く感じられる。
「遠いのう。おれはもう倒れるぞ」と、嫁さんに向かって弱音を吐きながら歩いた。
「何言いよるんね。すぐそこやんね」

実家に着くなり、母が待ちかまえていたように、酒を振る舞った。
純米の「西の関」である。
おお、大好きな酒がここで待っていた。
冷やで飲むと最高なのだが、今冷やで飲むと差し障りがある。
「悪いけど、燗つけてくれん?」
「燗?」
「うん、寒気がするけ」
とりあえず、2合飲んでから、そばを食べた。
気がつくと、もう12時を過ぎている。
「ああ、もう年が明けた。ぜんぜん気がつかんかった」と、母が言った。
頭の痛さはあいかわらずながらも、何とか無事に年を越せたわけだ。

明けて元日。
昨日の体調の悪さは何だったのだろうか、と思えるほど、頭の痛みは取れ、体中に元気がみなぎっていた。
毎年元日はゆっくり寝ているのだが、今年は普段どおりに目が覚めた。
新聞を取りに行き、普段どおりの朝食を食べ、ずっとテレビを見ていた。

昼から、また実家に行き、おせちを食べた。
その後、嫁さんと二人で初詣に行った。
初詣と言っても、太宰府天満宮や宗像大社のような有名な神社に行ったのではない。
行ったのは、地元の小さな神社で、小学生の頃からよく遊んでいた場所でもある。
この神社に初詣に行くのは、生まれて初めてのことだった。

「一地域の神社で、普段は神主もいない所だから、さほど参拝客もいないだろう」と思っていたのが甘かった。
かなりの人出で賑わっている。
なるほど、この地域は人口がかなり増えているから、参拝客の多いのも有りうる話である。
しかし、普段人もいない神社だけに、出店が出ているわけではない。
狭い参道には、車がぎっしり停まっていた。
もちろん、普段が普段だけに交通整理をする人もいない。
ぼくたちは、出る車、入る車を避けながら、神社の階段を登って行ったのだった。

こういう田舎神社でも、神殿の前に行くと、不思議と敬虔な気分になるものである。
神妙な面持ちで頭を下げた後、柏手を打った。
「今年一年、無事でありますように」
再び頭を下げ、神殿を後にした。

帰る途々、「もっと気の利いた願い事はなかったのだろうか」などと考えていた。
とはいえ、今年は他に、これといった願い事が浮かばない。
「まあ、『無事是貴人』と言うくらいだから、これに増した願い事はないだろう」ということで、自分を納得させることにした。


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