オリックスの谷選手のように派手な結婚式(披露宴)をする男もいれば、ぼくのように結婚式を挙げてない男もいる。 こういうものは、そうしたくてそうなるものではなく、生まれ持った宿命がそうさせているのだと、ぼくは思っている。 そういうぼくも、若い頃までは派手な結婚式を挙げることを望んでいた。 みんな祝福の中、ギターを片手に愛の歌をうたおうとも思っていた。
ところが、ある時点から、そういうことが馬鹿らしく思えてきたのだ。 もちろん結婚したのは、そういう気持ちになってから後のことで、だから結婚式を挙げなかった。 とはいえ、そういう気持ちになる以前に、結婚に縁がなかったわけではない。 20代中頃に結婚しようと思った人が今の嫁さんなのだが、元々彼女との結婚を望んでいたわけだから、結婚しようと思えばいつでも出来たわけだ。 もし、その頃に結婚していたとしたら、おそらく「ギターを片手に…」といった、思い出として振り返った時に赤面するような結婚式を挙げていたことだろう。
しかし、実際に結婚したのは、ずいぶん時間が経ってからのことだった。 そう、結婚に至るまで、かなり遠回りをしたのだ。 とはいえ、それはぼくの意思からではなかった。 結婚しようと思った時に、いつも何らかの障害が起こるのだ。 その障害の一つ一つをここに書く気はないが、とにかく、致命的な出来事がぼくに降りかかってきた。 今思えば、それこそがぼくの生まれ持った宿命だったのだ。 言い換えれば、ぼくが結婚式が馬鹿らしいと思うまで、宿命はぼくの結婚を許さなかったということだ。
元々ぼくの家系は家庭運に恵まれていない。 だから、結婚が遅くなっても、結婚式を挙げなくても、「こんなものなんだ」と素直に受けとめられる。 これも、そういう星の下に生まれてきた者の宿命なのだろう。
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