頑張る40代!plus

2003年12月14日(日) 落とし物 (前)

朝、店のカウンターに落とし物が届いていた。
中身は運転免許証だった。
女性のものである。
パートさんが住所を手がかりに電話帳を調べていたが、該当する人はいなかった。
当然104に電話しても、登録がないとのことだった。
そこで今日一日待って、もし取りに来なかったら、夜にでもぼくが交番に持って行こうということになった。

別に交番に届けなくても、直接相手の家に届ければよさそうなものだが、変に恐縮されてお礼攻撃を受けるのも嫌だし、逆に変に警戒されるかもしれない。
どちらに転ぶかはわからないが、物が物だけに、相手もサラリと流すことはしないだろう。
そういう場合は、その専門である警察に届けるのが一番である。
警察に任せておけば、嫌でも処理してくれるだろう。

今日一日、とうとう彼女は免許証を探しに来ることはなかった。
ということで、夜、閉店前にぼくは交番へ向かった。
「こんばんはー。○○店の者です」
「はい、どうされました?」
「落とし物なんですけど」
「どんな落とし物ですか?」
「免許証です」
「それはありがとうございます」
そう言うと、警察官は一枚の紙を出した。
「こちらに、おたくの名前と住所を書いて下さい」
・・・
「書きました」
「では、こちらにもお名前を書いて下さい」
そこには謝礼を放棄する旨が書かれていた。
謝礼などいらないので、ぼくはさっさと名前を書いた。
「書きました]
「ご苦労様です。では、ちゃんと先方に渡しておきますので」
「お願いします」

この間3分ほどだった。
何ヶ月前かに、同じく免許証の落とし物を交番に届けたことがあるが、その時はもっと時間がかかった。
そう、捺印させられたのだ。
シャチハタではだめだということで、拇印を押すことになった。
別に拇印を押すことに抵抗はないのだが、あまりいい気分はしなかった。
それに比べると、今日はかなりお手軽だった。


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