あれから何年経っただろう、同窓会に君がいた 少し髪を伸ばした君は、ぼくを見つめてた 今はもう遠くの空で、幸せに暮らしているという そして今でもぼくは、君の歌をうたう 時は過ぎていった、ドラマなど起こらないままに だけど、確かに今でも、君はぼくの中にいる
毎年10月に、高校の同窓会が行われている。 この同窓会は、高校のOB総会といったようなもので、1期生から昨年卒業した人たちまでが集まる大規模なものである。 この会に参加するためには、チケットを購入しなければならないのだが、チケットの数が限定されているためなのか、それを売りさばく人が自分の気心の知れた人だけに売っているせいなのかは知らないが、ぼくの元に売りに来たためしがない。 ということで、ぼくはこの同窓会には参加したことがない。
いや、一度だけ参加したことがある。 それは、高校20年生になった時にやる当番、つまり総会のホストをやった年だった。 今からちょうど10年前のことだ。 その日、同期生は12時に集合するようになっていたのだが、前の日にぼくは前夜祭という名目で気心の知れた同級生たちと徹夜で飲んでいたため、会場に着いたのは午後5時頃になった。 開場1時間前である。
会場に着くと、受付に二人の女性が立っていた。 そのうちの一人が、ぼくが高校時代に好きだった人だった。 ぼくは軽く挨拶をした。 彼女もぼくのことを覚えていたようで、軽く挨拶をした。 高校当時と比べると、髪が長くなっていた。 身なりは30代のそれだったが、別におばさん臭くはなっていなかった。 近くにカメラを持った人がいたので、いっしょに写真を写してもらおうかと思ったが、どうもその勇気がわかなかった。 ということで、ぼくらはそのまま奥へ入っていった。
奥に行くと、ぼくの小学校時代からの同級生(女子)がいた。 彼女はぼくたちを見るなり、「あ、弁当食べる?」と言った。 「何なら、ビールもあるよ」とも言った。 ぼくは、家を出る前に食事をすましていたので、ビールだけもらうことにした。 「ビール飲んだら、会場を手伝って」と彼女は言った。 が、ぼくたちは、その場に居座り、会場を手伝うことはしなかった。 そうこうしているうちに、開場の時間が来た。
|