| 2003年09月22日(月) |
『当り!!』(前編) |
ぼくはくじ運が弱い。 子供の頃よく食べていたホームランバーや、駄菓子屋にあったコリスガムのくじでは当たったことがあるのだが、雑誌などでやっている高価な品物の懸賞には一度も当たったことがない。 まあ、当たらないからやらない、やらないから当たらない、と言ったほうがいいだろう。 これは、ぼくのギャンブルや宝くじに対する姿勢と同じである。 友人の中にはそういうものに熱中している人もいて、景気のいい話をよく聞かされる。 宝くじなどを科学的に分析して、購入している人もいる。 しかし、そういう人の話を聞いても、ぼくには興味が持てないのだ。 夢が持てないとも言える。 つまりイメージがわかないのだ。 そういうものに当たった時の、自分の姿が心の中に描けない。
昔、ジョセフ・マーフィーやロバート・シュラーなどの書いた、いわゆるニューサイエンス本を読んでいたことがあるのだが、そこに『心眼に映像を描け』というようなことが書かれていた。 心に描いたものは必ず実現するというのだ。 「風邪を引くんじゃないか」と心配すると風邪を引くことがよくあるが、これを逆手にとって、いいことを想像するといいことが起こる。 さらに進めて、いいことが起きた時の自分の姿や生活を具体的に映像として心の中に描くと、この効果は倍増するというのだ。 確かにこの論法は当を得ている。 この方法で成功した人の話も、聞いたことがある。 自分でもやってみて、小さな成功を収めたこともある。
しかし、この対象が懸賞だとかギャンブルだとかいう場合、ぼくは心にその成功の姿を描けないのだ。 その根底には、「楽して儲けようなんて以ての外だ!」という意識がある。 ぼくの知人に、脱サラして移動のやきとり屋を始めた人がいる。 サラリーマン時代は月収20万円程度だったのが、そのやきとり屋を始めた最初の月に50万円稼いでしまった。 それも実労15日程度で、である。 それに気をよくした彼は、だんだん仕事を怠けるようになった。 さぼっていても、ちょっと働けばすぐに50万円稼げるとでも思ったのだろう。 しかし、現実はそれほど甘くない。 さぼってばかりいるから、いい場所が確保出来ない。 そのせいで月収はだんだん下がっていく。 それから彼の転落が始まった。 以降彼はまったく仕事をしなくなり、愛想を尽かした奥さんは家を出て行った。 そのせいで、精神状態がおかしくなってしまい、挙げ句の果てに病院に入院。 楽して金儲けしようとした男の顛末である。
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