明日は朝から健康診断なので、早く寝なければならない。 寝不足だと、視力検査で失敗してしまうからだ。 以前寝不足のまま健康診断を受けたことがあるが、その時の視力検査の結果は左0.1だった。 係員から「えらく視力が落ちましたねえ。糖尿病か何かの病気にかかっているんですか?」と言われた。 「いや、文字が揺らぐんです」 「ひょっとして乱視ですか?」 「はい。おまけに昨日は寝不足で」 「普通はどのくらいなんですか?」 「左は0.7くらいです」 「そうですか…。じゃあ、視力検査だけやり直しますから、○日に健康センターまで来て下さい。ちゃんと睡眠を取ってきて下さい」 ということで、たかが視力検査のために休みを取り、健康センターまで行く羽目になった。 おそらく視力で再検査を受けたのは、ぼくぐらいだろう。 それ以降、健康診断の前の日は、なるべく睡眠を取ることにしている。 今回もそれだけは避けたいのである。
今日の晩飯は午後9時だった。 通常10時前後に食べているので、1時間も早い食事である。 それから今(午後11時)まで、お茶以外は口にしていない。 毎朝飲んでいるオロナミンCも、毎昼飲んでいるココアも、毎晩飲んでいるカルピスも、今日は飲んでいない。 実はこれも健康診断対策である。 知り合いに糖尿病の人がいるのだが、いろいろと食事制限の話などを聞いている。 もし、健康診断で引っかかりでもしたらことである。 再検査までの間、オロナミンCやココア、カルピスはおろか、黒糖キャラメルも口に出来ないようになる。 これは、ぼくにとって地獄である。
これも以前のこと。 その日が健康診断だということをつい忘れて、朝オロナミンCを飲んで出社したことがある。 会社に行く途中、「そういえば…」と健康診断のことを思い出した。 ここでぼくの頭はめまぐるしく動いた。 「どうしよう」 たかがオロナミンC一本のために再検査にでもなったら、いい笑い者である。 水をがぶ飲みして体内から放出してしまうことも考えた。 しかし、時間がなさすぎる。 その日は健康診断を受けずに、後日健康センターに受けに行くことも考えた。 しかし、わざわざ休みを取って健康センターに行くのもいやだ いろいろと考えたあげく、ぼくは、係員に根回しをすることにした。 「あのう、今日が健康診断ということを忘れていて、朝オロナミンCを飲んでしまったんです。もし、糖が出たら、それはオロナミンCですから、気にせんで下さい」 「オロナミンCを何時に飲んだんですか?」 「50分ほど前です」 「そうですか。じゃあ、診断書に『○時○分にオロナミンCを飲む』と書いておきますから」 「すいませんが、お願いします」 そうやって、難を逃れたのだった。
毎年言っていることだが、健康診断なんて大嫌いである。 健康診断のない平和な時代が早く訪れることを、ぼくは切に願っているしだいである。
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