会社に行く準備をしている時だった。 ふと鏡を見ていると、鼻毛の先が出ている。 ハサミを持ってきて、さっそく処理したのだが、この鼻毛なかなか手強くうまく切れない。 「何で、時間のない時に限って、こんなのが出てくるんか!」 数分間、これにかかり切りだったが、結局イライラが募るばかりで、埒が明かない。 しかたなく、「会社に行ってから処理しよう」ということにして、いったん除去作業を打ち切った。 ところが、会社に向かう車中でも、鼻毛が気になってしかたない。 何度も何度もルームミラーをのぞき込んでいた。
さて、会社に着いてから愕然とした。 鼻毛処理用のハサミを、家に忘れてきたのだ。 しかたがないので、そのへんのあったハサミを持ってきてやってみた。 が、ぜんぜんだめである。 専用の細かいハサミでさえ切れないものが、工作で使うような大雑把なハサミで切れるはずがない。 結局、何もせずに一日を過ごした。 家に帰ってから、専用のハサミで心ゆくまで鼻毛を切っていた。 ということで、今日は人に会うのが嫌な一日であった。
かつて、北九州は大気汚染に悩まされていた。 その頃は、ぼくの鼻毛も伸びるのが早かった。 「えっ、この間処理したばかりなのに、もう出てきた!」、という経験を何度もしたものだ。 それも1本や2本ならともかく、数本が束になって出てくるのである。 家にいる時に気づけばハサミで処理するのだが、例えば出先などで気づいた時は、もう抜くしか方法はなかった。 ところが、ぼくは鼻の中の皮膚が弱いせいで、いつも炎症を起こす。 炎症を起こすと、すぐに首のあたりのリンパが腫れる。 そのためにいつも熱っぽく、気分が晴れなかったものである。
その後、何かの本に「鼻毛を抜いてはいけない」と書いていたのを見て、ぼくは鼻毛を抜くことを止めた。 その代わりに鼻毛カッターなるもの利用することにした。 しかし、この鼻毛カッター、鼻の皮膚が弱いぼくには不向きだった。 使った後にヒリヒリするのだ。 もし、そのために炎症など起こしたら、抜くのを止めた意味がない。 さらに刈った後の毛は鼻の中に残るので、後の処理に時間がかかったものである。 そのため、買ってからしばらくは使っていたが、電池が切れると同時に使わなくなった。 それ以降は、ずっと鼻毛用のハサミを使っている。
ちなみに、使わなくなった鼻毛カッターだが、今も実家のどこかに眠っているはずである。 もう錆びているだろうけど、まだ使えるとは思う。 もし欲しい人がいたら、抽選で一名様にさしあげます。
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