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2003年07月13日(日) 月夜待 その1

 『月夜待』

 君に逢えれば こんなことだって
 忘れられると 思ったものさ
 笑い話に 君のことを
 歌ったことも 昔のことさ

 夢はいつも 美しいもので
 しあわせそうな 二つの影を
 映し出しては 消えていった
 あこがれては 思い悩み

  月夜待から 二つの道を
  選ぶいとまが 君との川で

 流れては 遠くなる恋を
 見つめては しあわせなんか
 こんなおれに くるもんかと
 つぶやきながら あおる酒よ

  月夜待から 二つの道が
  出逢うところで 君を夢見た

 いつか知らず 時は過ぎていった
 君に逢えるのは 夢の中だけと
 月夜待に かすかに浮かぶ
 月を見ては 君を想う


今日、一つの歌を「歌のおにいさん」にアップした。
『月夜待(つきよまち)』という歌で、上がその歌詞である。
25歳の時、自転車で駅まで通っていたことがある。
ある日の帰り、自転車をこいでいると、突然曲想がわいた。
家までおよそ5分の距離だった。
ぼくは曲を忘れないように、頭の中で繰り返しその曲を思い浮かべ、必死に自転車をこいだ。
家に着き、ぼくは自転車の鍵もかけずに、自分の部屋に向かった。
テープをラジカセの中に入れ、曲を思い浮かべながらテープに吹き込んだ。

『月夜待』という歌を、前々から作ってみたいと思っていた。
月夜待、ぼくの住む北九州に隣接する、水巻町にある地名である。
実にロマンチックな地名である。
ところが、実際はそんな地名とは裏腹に、殺風景な場所である。
元々、水巻は炭坑のあったところである。
実は、その月夜待もボタ山の麓に位置している。
近くに川が流れている。
が、それはどぶ川である。
何一つとっても、この歌のイメージとは合わない。
しかし、ぼくはこの月夜待という地名を利用して、歌を作りたかったのだ。

歌詞は、翌日に作った。
25歳といえば、高校時代からずっと好きだった人の、結婚を知った歳である。
片想いではあったものの、これで一つの恋が終わった。
そういう思いを歌詞に込めた。
出来上がるまでに、そう時間はかからなかった。
1時間足らずだっただろうか。
テーマがはっきりしていたから、作りやすかった。
また、言葉の節々に韻を踏ませたり、古文の手法を使ったりと、けっこうテクニックを駆使している。

さて、歌が出来上がった。
さっそくぼくはそれを録音した。
最初の録音はもうなくなっているが、歌は今のそれとほとんど変わりがない。
その後、「新曲が出来たぞ」と言って、この曲を友人に聞かせた。
ところが、反応は今ひとつだった。
ぼくは友人の反応が悪いと、もうその歌はあまり歌わない。
ということで、何度か歌ったきり、1年近く『月夜待』を歌わなかった。
ところがある日のこと、その友人が「去年聞かせてもらった歌が聴きたい」と言ってきた。
その当時はまだ、けっこう歌を作っていたので、どの歌のことを言っているのかわからなかった。
「どの歌?」
「たしか、月夜待の歌やったと思う」
「ああ、あの歌ね。でも、大した歌やないけ、もう歌わん」
「何で? いい歌やったやん」
いい歌と言われて、気をよくしたぼくは、およそ1年ぶりに『月夜待』を歌った。
そして、この「いい歌」と言われたことが、諦めかけていた夢に、再度火を付けた。


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