2003年07月12日(土) |
7月11日北九州・遠賀地区に大雨洪水警報 |
昨日、宗像大社に行った。 普段、ここに行くのには海岸線を通っていくのだが、昨日は途中郵便局に寄ったため、3号線を通ることになった。
家を出てから郵便局までは、雨は小降りだった。 郵便局を出て3号線に入った頃から、雨は本降りになっていった。 しかし、空はまだ明るく、しばらくすればやみそうな気配だった。
岡垣バイパスのトンネルを越え、宗像市に入った。 宗像大社に行くには、そのまま3号線をまっすぐ走るコースもあるのだが、右折して旧道を通ることにした。
旧道に入り、福岡教育大前を通過した時だった。 一瞬、空が明るくなった。 稲光である。 そこから徐々に雨脚が強くなった。 そして東郷橋を右折した時に、ついに土砂降りになってしまった。
雨はドンドンと音を立てて、ぼくの車を叩きつける。 目の前は一面灰色になり、あたりの風景を消してしまった。 前が見えない。 道が見えない。 前を走る車のテールランプが唯一の道しるべだった。 その車につかず離れず、一定の車間を保ちながら、ぼくは走った。
水はけの悪い道路は、すでに冠水しており、対向車が容赦なく、祭の勢い水のごとき跳ね水を叩きつける。 その都度ブレーキに足が行く。
普段は10分足らずで着く場所なのに、今日は20分経ってもたどり着かない。 向かう方面の空は、真っ黒だ。 このまま引き返そうとも思ったが、Uターンする場所もない。 しかたなく車を進めていくと、ようやく宗像大社の杜が見えてきた。 しかし、そこからがまた長い。 あいかわらずの徐行運転だ。 気は焦る。
ようやく、宗像大社の駐車場までたどり着いた。 しかし、この雨だ。 ドアを空けたが最後、大量の水が入ってくる。 外に出ることは出来ない しかたなく、小降りになるまで、車の中で寝ることにした。
うつらうつらしながら、5分ほど経ったろうか。 急に空が明るくなった。 その瞬間、「ドドー、ガーン」と、爆音のような音が轟いた。 車が揺れる。 雷だ。 近くに落ちた。 しかし、外を見回したが、雨にかき消されて、どこに落ちたのかはわからない。 それにしても、車が揺れるほどの雷音を聞いたのは、生まれて初めてのことである。
それからしばらくして、雨は小降りになった。 ぼくは神社でトイレを借り、用を済ますと、再び車の中に入った。 もう一度、雷を体験したかったのである。 だが、二度目はなかった。 しかたなく帰路に就いたのだが、さて、ぼくは何をしに宗像大社に行ったのだろう。 土砂降りの雨と雷のおかげで、すっかりそのことを忘れていた。 ようやくその用を思い出したのは、家に着く手前であった。 「そうか、国宝展をやっていたんだ」 しかし、後戻りしても、すでに国宝展会場は閉館している。
ということで、2003年7月11日は、「宗像大社に国宝展を見に行った日」ではなく、「生まれて初めて、車を揺らすほどの雷を体験した一日」として、ぼくの人生の中に刻み込まれた。
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