2003年05月17日(土) |
無表情な子供たち 前編 |
今日も来ている。 ぼくの働いている店の入り口には、ゲーム機・公衆電話・コピー機・自販機などが置いてある。 最近、そこにたむろする何人かの子供たちがいる。 上は自称17歳男子、次が中学生か小学校高学年男子、次が小学校低学年男子、最後が幼稚園女子。 どうも兄弟のようである。 学校に行ってないのか、朝から店にやってきては、そこに居座っている。 男子がいつも黒いTシャツを着ているので、ぼくは密かに『黒装束集団』と呼んでいる。
さて、いつもゲーム機のある場所にたむろする彼らではあるが、そこでゲームをしているわけではない。 では何をしているのかというと、かなり悪どいことをやっている。 自動ドアのスイッチを勝手に切ったり、カートを転がして遊んだり、公衆電話や自販機の釣り銭をあさったり、ゲーム機を倒してお金を盗ったりしている。
こちらも見て見ぬふりをしているのではなく、ちゃんとその都度注意しているのだが、聞く耳持たずである。 何度注意しても、また同じことを始める。
今日はとうとうぼくが注意することになった。 いつものように彼らは、入り口付近で遊んでいた。 今日は新たな遊びを見つけたようだった。 その遊びとは、自動ドアのスイッチを切ることである。 パートさんからの通報があり、ぼくはその場に駆けつけた。 行ってみると、小学校低学年男子が、自動ドアのところに座り込んで、足でドアを蹴っている。 「誰がこのスイッチを切ったんね?」 「・・・」 「ドアを蹴りなさんな。危ないやろ。ここから離れなさい!」 「・・・」 聞いていたとおりで、彼らは無表情な顔をして、こちらの言うことを何も聞いてない。 「聞こえよると!?」 「・・・」 うつろな目でこちらを見返すばかりである。 それにしても、彼らの顔色は悪く、肌の色つやに精彩がない。 栄養が足りてないのか、顔中ハタケだらけである。 「ここは遊び場やないんやけ、あんたたち他に行って遊び」 「・・・」 自動ドアのところからは離れたものの、その場に座り込んで、いっこうに立ち去る気配を見せない。 ま、いちおうは大人しくなったので、ぼくはそこから離れた。
しばらくして、また通報が入った。 ショッピング・カートを2階の駐車場にあがる階段の上に持って行き、そのままカートを放置していたらしい。 何かの拍子でカートが落ちてしまい、下にいたお客さんに当たったというのだ。 幸いお客さんには怪我はなかった。 しかし、彼らは悪びれもせず、まだその場で遊んでいた。 それを見た従業員が、彼らのところに行って注意をしたらしいのだが、あいかわらず無表情のままであったという。
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