「何だすて!?」 最近はまっている『あかんたれ』で、お決まりのように出てくる言葉である。 意味は説明するまでもなく「何ですって!?」だ。
ぼくはこの言葉を気に入って、ギャグとして使っている。 ぼくの地区を担当している取引先の人に、生粋の浪速っ子がいる。 先日その人が来た時、出し抜けに「何だすて!?」と言ってみた。 すると、その取引先の人は笑い出し、「えらく古い言葉を使ってますねえ」と言った。 「えっ、大阪の人ち、『何だすて!?』とか言わんと?」 「今時そんな言葉を使っている人なんていませんよ」 「そうなんね。てっきり今でも使いよるかと思った」 「うちの親父でさえ使ってなかったから、そういう言い方はそれ以前の時代の人たちが使ってたんでしょうね。それに、その言い方は元々商人言葉ですよ」 「でも、吉本とかも似たようなしゃべり方をするやん」 「ああ、あれは吉本の独自のしゃべり方ですよ。おそらく、商人言葉から流れてきたんでしょうね。一般の人はああいうしゃべり方はしませんよ」
なるほど、言われてみればそうである。 ぼくはよく『探偵ナイトスクープ』を見ているが、あれに出てくる一般の人は、関西独特のアクセントはあるものの、「わて」とか「だす」とか「おます」などとは言ってない。 やはり、取引先の人が言うように、古い商人言葉なのだろうか?
言葉の話が出たついでだが、ぼくは前々から興味を持っている言葉がある。 それは『〜やん』である。 「〜やん」は西日本で広く使われている言葉で、大阪でも使えば、九州でも使う。 しかし、この言葉、関東では使わない。 では、何と言うかというと、「〜じゃん」である。 以前、ネットで知り合った大阪の人が、「今度、東京で就職するんだけど、言葉が心配」と言っていた。 その時、ぼくは「別に心配しなくていい。堂々と大阪弁でしゃべればいい。決して『〜やん』を『〜じゃん』に言い換えるな」と言っておいた。 その人が音信不通になったため、まだ『〜やん』を使っているかどうかは知らない。
その『やん』をローマ字で書けば『YAN』となる。 もう一方の『じゃん』をローマ字で書くと『JAN』となる。 ここであることに気が付いた。 例えば、『JAPAN』という文字を英語で読めば『ジャパン』だが、ドイツ語で読むと『ヤパン』となる。 いやドイツ語だけではない。 ヨーロッパや中近東では、日本のことを『ヤパン』とか『ヤポン』と呼ぶ国は多い。 その際の『ヤ』の表記は、『YA』ではなく『JA』である。
それと似たのに、『Jesus Christ』がある。 これは英語だと『ジーザス・クライスト』である。 ミュージカルに『ジーザス・クライスト・スーパー・スター』というのがあるが、あれである。 最初、ぼくはこの『ジーザス・クライスト』というのが、何を意味するのかを知らなかった。 特に興味がなかったから、調べようともしなかった。 そのため、それが『イエス・キリスト』の英語読みだと知ったのは、つい最近である。 ぼくはクリスチャンでもないし、こういう言語に対しても無知なので、どちらが元々の発音かは知らないが、かのザビエルは「イエズス会」と名乗っているくらいだから、けっこう多くの国の人が『イエス』と読んでいるのだろう。
この場合も『イエ』は『YE』ではなく、『JE』なのである。 その表記に非常に興味をそそられる。 で、最初の『やん』に戻るが、この言葉をローマ字表示した場合、『JAN』と書くのが正しいかもしれない。 とすると、『じゃん』を使う地域は、英語を使う人たちの影響が大きかったのではないか、という憶測が生まれる。 もちろん『やん』地区は、イエズス会系ということになる。
ま、ぼくは学者ではないので、あくまでも憶測止まりで、これ以上の展開は望めないし、展開させる気もない。 ところで、『〜です』というのが『〜だす』となるのも、そのへんの絡みがあるのだろうか? うう、興味は尽きない。
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