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2003年05月15日(木) 下駄を履くまでわからない

今朝の新聞を見て若干の驚きがあった。
前にも言ったが、うちは地元紙である西日本新聞を購読しているのだが、今朝の一面は、「さすが地元紙!」とうならせるものがあった。
トップ記事の見出しは『有事法案を衆院委可決』となっている。
問題はその記事の下の写真である。
ホークスの選手が1塁付近に集まっている。
その写真の見出しは、『8点差 大逆転』となっている。
この新聞は、西日本スポーツではない。
れっきとした一般紙である。
その昔、全国に名前をとどろかした福岡日日新聞の後継紙である。
いかに昨日の試合がインパクトがあったにせよ、優勝でもないのに、この馬鹿騒ぎ、「さすが地元紙!」とうならずにはいられない。

今日は一日、その逆転の話題で持ちきりだった。
会う人会う人が「しんちゃん、昨日ダイエー凄かったねえ」である。
正直言うと、昨日の試合、ぼくは諦めていた。
それまで3連敗。
首位陥落とともに、覇気まで失ったような選手の動きである。
しかも相手は、5連勝中の近鉄バファローズ。
12日と13日の対近鉄戦は、テレビを見ても、ラジオを聴いても、ホークスの上には暗雲が立ちこめているように見えた。

午後7時、テレビ中継が始まったとたん、「0−5」となっていた。
「また今日もかぁ…」である。
その後もしばらく見ていたのだが、反撃の糸口さえ見あたらず…。
逆に近鉄のほうは、阿部のホームランなどあり、さらに勢いづいている。
ついに「0−8」
ここでぼくは会社のテレビを切った。

帰りの車の中で、城島のホームランで2点が入っていることを知った。
しかし、まだ6点差ある。
今のチームの勢いからすると、ゲーム終盤の6点ビハインドは致命傷と言ってもいい。
家について、さらに2点追加したが、まだ4点差がある。
残す回は、8回と9回の2イニングだけ。
しかも8回はランナーを出したものの、得点には結びつかない。
「いよいよ4連敗濃厚」と思ったぼくは、ラジオのスイッチを切った。

それからぼくはパソコンに向かった。
ま、試合のほうは気にはなるけど、ノリやローズの笑顔が伝わってくるような放送は聴きたくない、という意思からである。

しばらくパソコンをやってから、ぼくは風呂に入った。
風呂には、専用のラジオを置いている。
ぼくはいつもの癖で、ラジオのスイッチを入れた。
負けは認めていたものの、結果だけでも知りたかったのだろう。

「えっ!?」
何と、まだ試合をやっているではないか。
場面は9回裏ダイエーの攻撃中。
1死満塁で、バッターボックスには、その日1本ホームランを打っている城島が入っていた。
「もしかしたら」と思った時だった。
走者一掃の2ベースヒット。
これで「7−8」の1点差まで追い上げた。
その後はスポーツニュースでご存じの通り、大道の同点タイムリー、ネルソンのサヨナラ打と繋がる。

『野球は下駄を履くまでわからない』とよく言われるが、昨日の試合はまさにそういう試合だった。


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