頑張る40代!plus

2003年05月11日(日) 薬局2

さて、いよいよ薬局応援当日。
薬局のパートさんが一人で忙しそうにやっていた。
一人なので食事時間もまともにとれない。
時折ぼくは気になって声をかけたりしたのだが、何の役にも立たない。
これがもどかしい。
「食事とった?」
「いや、まだです」
「今すいとるけ、食べといで」
「いいんですか?」
「うん。見とくけ。万引き防止にしか役に立たんけど、おらんよりいいやろ」
「ははは。じゃあ、お言葉に甘えて…」

パートさんは「すぐに帰ってきます」と言って、食事に行った。
ぼくは「見てやる」と言った手前、薬局から離れられずにいたが、ぼくはぼくで、何部門かを持っている。
そのため、何度かお呼びがかかった。
行ったり来たりしていたわけだ。
そうこうしているうちに、薬局のパートさんは帰ってきた。
その間20分もかからなかった。
「ありがとうございました。もういいですよ」
「え、早いやん。もう少しゆっくりしとき」
「いえ、もういいですから」
ということで、ぼくは自分の持ち場に帰った。

それから1時間、何事もなかったので、「もう大丈夫。そろそろ食事に行くか」と思った矢先だった。
そのパートさんが、慌ててやってきた。
「ちょっと来て下さい」
「え、どうしたん?」
「酔っぱらいのおいちゃんが、陶陶酒を…」
酔っぱらいのおいちゃん…
久しぶりに聞く名前である。
陶陶酒…
そういえば、今日は薬局の前で、陶陶酒の試飲会をやっていた。
「え? 酔っぱらいのおいちゃんが?」
「ええ、さっきから陶陶酒のところに居座って、何回も陶陶酒をお代わりするんです」
ぼくはすぐに試飲会の場所に行った。
おいちゃんがいた。
おいちゃんはぼくを見つけると、
「お、大将、久しぶりですなあ」
と言った。
「おいちゃん、こんなところで何しよると?」
「いや、ここの係の人が『飲んでくれ』と言うもんで…」
「『飲んでくれ』と言われて、何回も飲みよるんね?」
「はい、そうですたい。おいしいですけなあ」
「おいちゃん、あんたこれ薬やないね。何回も飲んだら逆効果になるんよ。また寝小便たれたらどうするんね?」

おいちゃんは『寝小便』という言葉に敏感に反応した。
この日記に何度も書いているように、酔っぱらいのおいちゃんは酔っぱらうと、大声を出し、あげくにベンチの上で寝てしまうのだ。
寝たら最後、寝小便するまで起きない。
ぼくは何度も、このおいちゃんの小便の後始末をしている。
おいちゃんもそのことを知っている。
だから、ぼくが「寝小便」という言葉を口にすると、寝小便をたれたガキのようにシュンとするのだ。

「あ、今日から相撲が始まるんでしたなあ。うん、早く帰らんと。じゃあ、大将、失礼しまーす」
酔っぱらいのおいちゃんは、そう言い残すと、さっさと帰っていった。
ぼくはパートさんに「帰らせたよ」と報告してから、食事に行った。

今日は、パートさんは6時までの勤務だった。
そのため、6時以降は売場に係員は誰もいなくなった。
ま、よくしたもので、それから閉店までお客さんは、ほとんどこなかった。
8時になり、ぼくは昨日先生から言われたとおり、保冷庫の電源を切りシャッターを下ろした。
昨日からずっと気になっていたので、やっと安心できた。


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