最近、昼食は隣のスーパーマーケットで、弁当を買っている。 今日もいつものように弁当を買いに、スーパーに行った。 いつもの幕の内を買い、そのままレジに並ぼうとしたが、何か物足りない。 「もう一品買うか」と、もう一度店内を見て回った。 「あ、そういえばお茶がない」 ないことはないのだが、わざわざ入れて飲むのも面倒だ。 そこで、お茶を買うことにした。
ぼくが一番気に入っているお茶は、JTの『渋茶』だ。 しかし、そのスーパーには『渋茶』は置いてなかった。 仕方なく他のお茶を選ぶことにした。 今日選んだのは、サントリーの『和茶』だった。 このスーパーは、レジに近い方から、お茶、ジュースの順番で並んでいる。 『和茶』は、レジ寄りのお茶の中でも、一番レジに近いところに並んでいた。 ぼくはそこから一本を取り、レジに向かった。
幸いレジには、並んでいる人が少なかった。 その中でも一番すいているレジに並び、順番を待った。 流れがよく、すぐにぼくの番が来た。 そこで、持っていた弁当とお茶をそこに置き、前に進んでお金を払う用意をした。 「ピッ、380円一点」 後ろのほうで持ってきた弁当を打ち込んでいる。 ところが、その次のお茶を打ち込もうとした、レジのおばさんの手を見てびっくりした。 彼女が持っているのは、白いペットボトルなのだ。 「たしか『和茶』は白じゃなかったよなあ」 と思い、目を凝らしてよく見ると、おばさんが持っているのは『和茶』ではなく、アサヒの『SARALI』である。 「おいおい、おばさん。あんた何打ちよるんか。おれが持ってきたの、それやなかろう」 と言おうとした。 が、不思議なことに、そこに置かれているのは、弁当とその『SARALI』だけで、『和茶』などはどこにも存在していなかった。 「おかしいのう。たしかに『和茶』を取ったつもりなのに」 取り替えてもらおうと思ったが、すでに後ろには他のお客が何人か並んでいた。 ここで「ちょっと待って」などとやると、そのお客たちが迷惑するだろうし、再び並んで「替えて下さい」というのも嫌だ。 しかたなく、ぼくは『SARALI』を受け入れることにした。
さっそく食堂に行き、今買った、幕の内弁当と『SARALI』をテーブルの上に並べた。 「何でSARALIなんか持っていったんかのう。 あそこには和茶しかなかったはずやないか。 ん、待てよ。 もしかしたら『疲労がたまっているので、これでも飲んで精を出せ』という神様の思し召しかもしれん。 それにしても、幕の内とSARALI…。不釣り合いやのう」 しばらく考えた末、ぼくは、入れるつもりのなかったお茶を入れることにした。
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