今日は肌寒かった。 天気予報でも、今日の北九州地区の平均気温は20度を切った、と言っていた。 いつまでも夏にこだわり、夏気分を捨て切れなかったぼくも、ついに秋を認めた。 ぼくは毎年、10月に入っても夏にこだわって、頑張れるところまで半袖を着ている。 しかし、今日は素直にそのこだわりを捨てた。 ついに長袖を着て外出したのだ。 また家の中にいる時、昨日まではTシャツとトランクスだけだったのだが、今は上はTシャツ一枚でいるものの、下はジャージをはいている。 昨日まで開けていた窓も、今は閉めている。
さて、今日の夕食はすき焼きだった。 いよいよ鍋物の登場である。 すき焼きといえば、昔は肉を中心に食べていたのだが、最近は野菜を中心に食べるようになった。 健康のことを考え、意識的に野菜を食べるようになったのではなく、ただ嗜好が変わっただけの話である。 昔あれだけ嫌いだった白菜が、今は一番好きになっている。
ところで、ぼくは「水炊き」や「もつ鍋」といった鍋物の本場福岡に住んでいながら、鍋物(すき焼きを除く)が苦手である。 特に豆腐が入ったものは、ぜんぜんだめである。 だから宴会などをやる時は、鍋料理の店などは避けるようにしている。 仮に他の人の意見が強くても、ぼくはいい顔をしない。 その理由をぼくはいつも、「冬が嫌いだから、冬を連想させる鍋物が嫌いだ」と言っている。 しかし、これはある理由を隠すためのこじつけである。 冬料理でも、おでんのように好きなものはある。 また、その理由からすれば、冬の果物も冬を連想するから嫌いということになるはずだが、ぼくが果物の中で一番好きなのは、冬の果物の代表選手であるミカンである。 ということは、当然この理由は通らなくなる。 が、それに気づいた人はいない。
ぼくが鍋物を嫌いな理由は他にある。 実はそれは、ぼくの肉体的欠陥にあるのだ。 その欠陥というのが、「猫舌」である。 人と外食をする時、先にぼくの料理が運ばれてきた場合、ぼくは箸をつけないでいる。 その人は「遠慮せんで、先に食べていいよ」と言ってくれるのだが、それでもぼくは箸をつけない。 もしかしたら、その人は「気配りのある、いい人だなあ」と思っているかもしれない。 しかし、ぼくはそういう人間ではない。 「気配りのない、悪い人」である。 先に箸をつけないのは、ただ料理が熱いからである。 その証拠に、その人の料理が運ばれてきてからも、しばらくぼくは料理に箸をつけないでいる。
「熱いのがだめだと言うのなら、おでんだってだめなはずじゃないか」と言う人もいるだろう。 いや、そうではない。 おでんの場合は、ぼくの食べるものが決まっているからいいのだ。 ぼくの食べるものは、きんちゃく・大根・玉子・丸天である。 これを先に取って、後は冷ましておけばいい。 おでんは鍋物よりも、ずっと回転が遅い食べ物である。 もしそれで足りなくても、まだたくさん残っているから大丈夫なのだ。
そういえば、一ヶ月ほど前の「探偵ナイトスクープ」で、猫舌は治ると言っていた。 しかし、そのためには努力が必要だということだった。 その努力とは、熱い物を食べ慣れることである。 しかし、ぼくには無理である。 最初の一歩が踏み出せない。 最初の一歩である「食べる」ことが出来ないのに、「食べ慣れる」なんて出来るわけがないじゃないか。 そんなことするくらいなら、一生鍋物を食べなくてもいい。
これから年末年始にかけて、宴会の数も増えてくる。 そこでお願いなのですが、鍋物好きの人、頼むからぼくを誘わないで下さい。 どうしてもぼくを誘うなら、焼き鳥か、おでんにして下さい。 もしくは二次会からにして下さい。 飛んで行きますから。
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