2002年09月10日(火) |
フォーエバー・ヤング |
若さというのは本当にいいものである。 いろんな冒険が出来る。 いろんな無理が出来る。 何よりも羨ましいのは、失敗してもやり直しがきく、ということだ。 ぼくの歳になると、そうそう博打のようなことは出来ない。 会社が嫌だと言って、すぐに辞めるわけもいかない。 ミュージシャンになって一発当てようと思っても、そうそう門戸は開いてくれるものではない。 この歳で歌手デビューしてミリオンセラーを狙うというのは、宝くじを当てることよりも難しいだろう。 そういうことは若いからこそ持てる夢である。 家のローン、車の維持費、養育費、生命保険等々、こういうものに縛られている者にとって、それは夢のまた夢である。 ぼくは、これらすべてに縛られているわけではないが、それでもこの歳なりの不自由さを感じている。 つまり、夢を持ってはいるものの、そこに飛び込めない空しさを感じているのだ。 何よりも、まず生活を考えてしまう。 そうなると、自ずとこじんまりとした成功でいいと思うようになる。 仮にレコードデビューしても、あくまでも副業で、印税や何かで月に5万円くらいになればいいや、と思うのである。 これではものにならない。 そういう人間を、業界は求めやしないだろう。
高校の頃、ぼくは実にばかげた夢を持っていた。 1年の頃、ホームルームで「あなたの夢は何ですか」というのをやったことがある。 前に出て、一人一人夢を語っていくのである。 男子は「プロのスポーツ選手」とか「普通のサラリーマン」などが多く、女子は「好きな人のお嫁さんになる」というのが多かった 「しんた君、お願いします」 「みんな夢が小さいようですね。ぼくは革命を起こして、世界を統一します」とぼくは言った。 クラス中大笑いになり、「おまえはバカか」という罵声を浴びたものだった。 担任から「おまえは赤か」と言われたので、「夢は大きいほうがいいでしょ」と答えておいた。 しかし、こういうことも若かったから言えたことである。 もしこんなことをこの歳で言おうものなら、社会からは冷たい目で見られ、会社からは即刻クビを言い渡されるだろう。 歳をとると、そういうバカ一つも言えなくなるのが現実だ。 それだけ、社会的な責任を持っているとも言えるが。
ぼくもそろそろ40代の後半に入る。 とはいえ、このまま定年人生を送ろうとは思わない。 何かひとつバカをやりたいと思っている。 「そのためには若返らなくちゃねえ。とりあえず白髪を染めるなりして」という人がいる。 しかし、髪を染め、若々しい格好をすることを若さというのなら、ぼくは若くなろうとは思わない。 40代は、あくまでも40代なのだ。 ちゃんと40年以上生きてきた歴史や自負を持っているのだ。 今さら青二才の真似事などできるか! 「しかし、若くないとバカはできないじゃないか」 じゃあ、40代が若いと言われる世界に飛び込んだらいいじゃないか。 もしくは、自分だけの世界を展開すればいいじゃないか。 ぼくはそれを模索している。
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