頑張る40代!plus

2002年08月09日(金) 髪細り

先週の金曜日に床屋に行ったのだが、帰り際に床屋の姉ちゃんから、ちょっと気になることを言われた。
「髪が柔らかくなったねえ」
『それは髪が薄くなったということか』と聞こうと思ったのだが、小心者のぼくは、もしそうだったら困るので、何も聞かずに帰った。
家に帰ってからもそのことが気になっていたのだが、「白毛族はハゲない」という信念を貫こうと思い、そのことを極力考えないようにしていた。

ところが今日、風呂から上がって鏡を見ると、そこには、かつて見たことがない哀れな自分の姿が映っていた。
洗った髪の隙間から、地肌全体が透けて見えるのだ。
もちろん白髪なのだから、今までもある程度は透けて見えたのだが、今日みたいに頭全体に広がって見えたことはなかった。
『もしかして、これを髪細りと言うのか・・・』
これから起こるはずの楽しい人生が、ぼくの中で音を立てて崩れていく。
将来同窓会などで、かつて好きだった人と再会した時の、情けない自分の姿を想像すると、かなり辛いものがある。
その時に起こるかもしれない、甘いロマンスを期待していたぼくは馬鹿だった。
おそらく彼女には、年相応のただのおっさんにしか映らないだろう。
「このハゲのおっさんは誰だったか?」と思われるのも辛い。

しかしねぇ、今更育毛なんかやって行く気もせんのですよ。
すべて流れに任せる主義だから、細くなりゆく自分の髪を眺めては、ため息をついていくことにしますわい。

ぼくは20代の頃から、サラリーマンを辞めて、自由業に就きたいと思ってきた。。
理由は、髪を伸ばしたいからだ。
ロン毛と言われるほどには伸ばしたくないが、せめて高校時代くらい、そう耳が隠れるくらいは伸ばしたい。
まあ、髪が伸ばせるのなら、サラリーマンだってかまわないのだが、堅気の職場ではそういうことは許されないだろう。

これまで、サラリーマンを辞めるべく、いろいろな自由業を模索してきた。
ミュージシャンもそのひとつである。
40代になるまでは、レコード会社にデモテープを送ったり、スナックで歌ったり、といったことをしていた。
また、物書きになるべく、ワープロを買い込んで、必死に勉強した時期もある。
こういう努力も、すべては髪を伸ばすためである。
しかし、ミュージシャンや物書きには、いまだなれないでいる。
当然髪は伸ばせない。
もう40代も半ばである。
そろそろめどをつけないと、時間をかけて自由業に就いても、伸ばす髪がなくなっていたではシャレにならない。

さて、そろそろ髪が乾いてきた。
乾いてくると、髪細りはさほど目立たない。
かえって髪が多くなったような気がする。
さっきと今と、どちらが本当なんだろう。
もしかしたら、これも何かに化かされているせいなのかもしれない。
そういえば、現在夜中の2時なのだが、外はやけに明るい。


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