「ひよ子」というお菓子がある。 何かの本で読んだのだが、東京のお土産No.1だということだ。 九州の人なら誰でも知っていることであるが、「ひよ子」は福岡の銘菓であり、決して東京の銘菓ではない。 「ひよ子」を製造している吉野堂の発祥の地は、福岡県飯塚市である。 東京の人は、卵型の箱に入った「ひよ子」を知っているだろうか? 昔は「ひよ子」のCMには、決まって「ひよ子」の歌がかかっていた。 「ひっよ子、ひーよ子、ぴーよぴーよ、ひよ子・・・♪」 果たして、東京でこの歌が流れていただろうか? 「あっぱーれ、あっぱれ、あっぱれひよ子の博多もち、もっちー、ウー、ウー♪」(このCMは好かん!) 「ヤマアラシのサブレは何か痛そうだ。スッポンのサブレは噛み付きそうだ。・・・。やっぱりひよ子のサブレにしよう。ぴよぴよ♪」 今これらの歌が、東京で流れているだろうか?
ぼくが東京にいた時、新宿駅で「ひよ子」が売られているのを見て、不思議に思ったものだった。 こちらの友人が下宿に遊びに来た時、下宿のおばさんに「ひよ子」をお土産に買ってきたのだが、おそらくおばさんは、新宿駅で買ったと思ったことだろう。 こちらのひよ子と東京のひよ子は味が違うらしいが、その違いがわかっただろうか?
ぼくがまだ幼い頃、この「ひよ子」は駄菓子屋でバラ売りしていた。 当時、一個20円だったと思う。 普通のアイスクリームが5円の時代に、20円は高価であった。 ちなみに、当時グリコは10円、ラムネは15円だった。 「ひよ子」は今と同じように、薄い和紙に包まれていて、それがガラスケースの中に、無造作に置かれていた。 飴玉やガムを買う時、いつもガラスケースの中の「ひよ子」に目が行っていた。 欲しかったのだ。 しかし、さすがに20円はきつかった。 小さい頃は、1年に一二度くらいしか「ひよ子」を食べられなかった。 うちに遊びに来るお客さんが、たまに手土産に持ってきたのを食べた程度である。
ということで、「ひよ子」はいつもぼくの憧れのお菓子なのである。 小学校の給食で、一度だけ「ひよ子」が出たことがある。 あれは、感動だった。 学校で食べずに、家に持って帰って食べたものだった。 理由は、脱脂粉乳なんかで食べたくなかったからである。 ぼくは昔から、「ひよ子」を食べる時は牛乳を飲みながら、と決めているのだ。 福岡には、もう一つ、「千鳥饅頭」という有名なお菓子があるが、これを食べる時も牛乳である。 この習慣は今でも変わっていない。 たまに差し入れで、「ひよ子」をもらうことがある。 ぼくは、急いで隣のスーパーに牛乳を買いに行く。
話を最初に戻すが、この日記を読んでいる方だけでも、東京土産と言われている「ひよ子」は、実は福岡の銘菓ということを覚えておいて下さい。 もし、福岡の「ひよ子」を食べてみたい、という方がいらっしゃいましたら、ご連絡下さい。 福岡までの、行き方をお教えいたします。
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