毎月、20日過ぎの最初の休みの日を、ぼくは銀行の日と決めている。 何度も言っているが、この日は黒崎に行って、いくつかの銀行に払い込みをする日なのである。 「こんなことなら、銀行を一本にまとめておけばよかった」といつも思っているのだが、今更どうすることもできない。
その休みの前日であった昨日は、久しぶりに完徹せずに早く寝た。 午後から雨脚が強くなると天気予報で言っていたので、今日はなるべく早い時間に銀行に行っておきたかったからだ。 朝も通常通りに目が覚め、外を見てみると、すでに雨脚は強くなっていた。 小降りになるまでパソコンでもやっていようかとも思ったが、日ごろ寝不足が続いているので、少し寝だめをしておこうと、もう一度布団の中に潜り込んだ。 が、眠れない。 少し眠っては、変な夢を見て目が覚めてしまうのだ。 「何なんだろう、あの夢は?」 何か妖怪のようなものに追いかけられている夢だった。
しかたなく、起き出してパソコンの前に座ったのはいいのだが、どうもやる気が起きない。 というよりも、やることがない。 そこで先日買った本を読むことにした。 しかし、すぐに飽きてしまう。 今日は何をやっても気分が乗らない。 テレビのスイッチを入れた。 相変わらず雨はやみそうにない。
そのまま無駄な時間が過ぎていった。 やっと雨が小降りになったのは、午後2時を過ぎた頃だった。 いったんは「さて準備しようか」という気になったが、「何をやっているんだろう?」と思いスカパーのスイッチを入れたのが間違いだった。 なんと『おれは男だ!』をやっていたのだ。 つい見入ってしまった。 ぼくはこういう古いドラマを見ると、すぐにその時代の情景を浮かべてしまう。 中学2年の時、ぼくはこのドラマに影響されて、一人で『女子としゃべらん同盟』を作り、「しゃべったら切腹します」と宣言していた。 結局しゃべらないわけもいかず、何度も切腹することになるのだ。 まあ、切腹といっても、腹にボールペンで線を引っ張るだけだったけど。
「あ、そんなこと考えている暇はない」と時計を見ると、もう3時を過ぎていた。 だんだん行きたくなくなってきた。 だいたい、雨の日の外出はあまり気乗りがしない。 傘をさして歩くことが性に合ってないのだ。 しかも午前中に行く計画をしていたので、ここまで時間がずれ込むと行きたくなくなるのも当然である。 「別に黒崎に行かんでも、ネットで振り込みできるやん」と考えた。 「じゃあ、もう一眠りするか」と布団にもぐってみた。 だけど落ち着かない。 「しかし、クエスト(3月6日にオープンした大型のブックセンター)には、まだ行ってないし・・・」 散々考えたあげく、やっぱり行くことにした。
車で行くことを考えたが、雨の日は渋滞に巻き込まれないとも限らない。 で、4時ちょうどのJRに乗りこみ、黒崎に向かった。 1分半後黒崎に着き、すぐさま銀行に行った。 銀行を4軒ハシゴしてから、お目当ての「クエスト」に行った。 たしかに、九州で3番目に大きな本屋というだけあって広かった。 本の数も多く、通路もかなり広くとってある。 これなら『道の達人』に邪魔されることはない。
今日買った本は5冊。 そのうち3冊はコミックであった。 ここ数年コミックの売り場を覗いてなかったので、今日ちょっと覗いてみることにした。 「おお、出てる、出てる」 文庫版の『ブラックジャック』15巻・16巻が出ていたのだ。 おまけに『西岸良平名作集』の4巻も出ている。 さっそくこの3冊を購入した。 西岸さんのは、すでに5巻も出ているようだったが、今日は切れていた。 「次の機会に買うことにしよう」と思い、他の階に行った。 あとの2冊はお決まりの歴史本である。
しかし、本屋はしょせん本屋である。 置いている本もだいたい決まっている。 特に何をやっているわけでもない。 時間も5時を過ぎたし、いつ雨が降り出すやも知れぬ。 買うだけ買って、ぼくは長居せず、その店をあとにした。 もっと時間があれば、新しい発見があったのかもしれない。 その発見探しは、次回に譲ることにしよう。
とにかく、今日は気分の乗らない一日であった。 今、この時間もその状態が続いている。
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