最近、寝不足のせいかどうかは知らないが、霊と波長が合っているようだ。 三日間続けて金縛りにあった。 昔から寝不足になるとよくこういう状態になるのだが、これまでは体が宙に浮くことが多かった。 おそらく幽体離脱をしていたんだろう。 しかし、今回のはちょっと違うようだ。 誰かが乗っているのである。 一度目は、18日午前3時半頃だった。 日記を書き終えたぼくは、早く寝ないとと思いながらも、寝付かれずにいた。 その時、人の気配がした。 「誰だろう?」と思っていると、その気配はぼくの肩元にやってきた。 そして布団を掴んで、ぼくの頭までかぶせてしまった。 「おいおい、何が始まるんだ?」と思っていると、急に体が重くなった。 「これは霊やないか!」と思い、こういう時のために覚えておいた“延命十句観音経”というお経を唱えた。 もちろん声は出ないので、心の中で 「観世音、南無仏、与仏有因、与仏有縁、仏法僧縁、常楽我浄、朝念観世音、暮念観世音、念念従心起、念念不離心」 と唱えた。 42文字の、般若心経より小さなお経で、江戸時代の高僧白隠が広めた霊験あらたかなお経だときく。 このお経を唱えると、だんだん体は軽くなっていった。 その日は、これだけで終わった。
二度目は、19日の何時ごろだったろうか? 今度は寝ている時に襲ってきた。 しかし、前日のことがあったので、すぐさま体勢を変えた。 ぼくの場合、金縛りはいつも仰向けで寝ている時にやってくるのだ。 そこで、ぼくは体を横向きにした。 すると霊の奴は去っていった。 しかし、その後しばらく眠れなかった。
三度目は、20日の午前3時過ぎ、つまり今日である。 一度目と同じく、寝付かれずにいた時に襲ってきた。 さすがに頭にきた。 今度はお経を唱えずに、心の中で「おい、いい加減にしとけよ!お前はおれに用があるかもしれんけど、おれはお前に用はない!出ていけっ!!」と一喝した。 しかし霊は離れようとしない。 そこでぼくは、伝家の宝刀「般若心経」を持ち出した。 今まで、このお経を唱えて離れなかった霊はない。 全文唱えるにこしたことはないが、お経が出てこない時には、「摩訶般若波羅蜜多!!」だけでも効果がある。 とにかく一心不乱がコツである。 今日は「摩訶」だけでよかった。 霊はさっさとどこかへ行ってしまった。
どうしてぼくは、こうも霊に好かれるんだろう? 3年前に、車を塀にぶつけたことがある。 その前日に死亡事故現場を通ったのだが、その時霊を連れてきてしまい、それで起こした事故だと思っている。 ばあさんの霊とか、子供の霊とか、霊がぼくの周りにうようよしている。 いつか断ち切ってやろうと思っているのだが、その修行が出来てない。 また、なかなかその暇がない。 しかたないので、しばらく見て見ぬふりをしていようと思う。 たまには、昔みたいに霊を怒鳴り上げたりしてみるか。 ああ、そうだった。 それよりも早く寝て、霊と波長を合わせないようにすればいいんだ。 そのためには早く寝ないとならない。 しかし、日記を早く書かないと寝られないし。 もしかしたら、霊はぼくと会いたいがために、ぼくが日記を書くのを邪魔しているのかもしれない。
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