頑張る40代!plus

2002年02月09日(土) 願い

帰りのラジオで、ミスチルの「君が好き」という歌が流れていた。
ぼくにとって、ミスチルというのはどうでもいい存在なんだけど、この歌の最初の歌詞に引っかかった。
「・・・願いが一つ叶うとしたら・・・♪」
そういえば小さい頃、「もしぼくの前に、魔法使いのおばあさんが現れて、『お前の願いを一つだけかなえてあげる』と言ったらなんと答えようか」と真剣に考えていた。
友達にそのことを聞くと、3人に1人の割合で「プロ野球の選手にしてもらう」という答えが返ってきた。
「で、お前はどうなんだ?」と聞かれると、いつも答えに窮していた。
漫画家に憧れた時期もあるが、絵が下手だったので早々と諦めている。
お金とか地位とかに憧れたことはなく、かと言って平凡な人生を望んだわけでもなかった。

中学や高校に行ってもそのことを考えることがあった。
その時は「ミュージシャンになりたい」という夢があったので、「もし魔法使いのおばあさんが現れたらそう言おう」と心に決めていた。
しかし、魔法使いのおばあさんは、なかなかぼくの前に現れない。
そしてそのまま社会に出てしまった。
20代、30代と歳を重ねていくうちに、「ミュージシャンになりたい」という夢もだんだんと薄れていった。

その頃だった。
「魔法使いのおばあさんへの願いはこれがいい」と思いついたのは。
それは、「すべての願いが叶う人にしてもらう」というものだった。
これほど重宝な願いはない。
魔法使いのおばあさんに対する願いは一つだけだが、これでぼくはすべての願いが叶うようになるわけだから。
「これでいつ魔法使いのおばあさんが現れても大丈夫だ」と安心したぼくは、気長に魔法使いのおばあさんを待つことにした。

しかしねえ、魔法使いのおばあさんなんて、そうそうぼくたちの前に現れてくれんのですよ。
そのせいか、気がつくと「魔法使いのおばあさんに会えますように」という願いに変わっている。
こんなこと願っていると、「お前の願いを叶えたぞ」と魔法使いのおばあさんが現れてしまう。
ハッと気づいて、「いかんいかん。これは魔法使いのおばあさんの策略だ。あまりにぼくの願いが壮大なものだから、ばあさんこの願いにすりかえたな。危うく引っかかるところだった」と、「すべての願いが叶う人」に願いを置き換える。
それから、ぼくとばあさんの駆け引きが始まった。
「ばあさん、そろそろいいやろ」と心の中で声をかけると、「まだまだ」と言う答が返ってくる。
ばあさんが現れようとする時には、決まって「ばあさんに会いたい」という願いにすりかえられるので、ぼくは願いを置き換える。
するとばあさんは、現れるのをやめる。
こんなことの繰り返しである。
しかし、ぼくは諦めない。
いつかばあさんを引っ張り出してやる。
ああ、いかん!
これも願いになっている。
ということは、そろそろばあさんが現れるのか?
騙されたふりして待ってみるか。


 < 過去  INDEX  未来 >


しろげしんた [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加