今日外国人の女性のお客さんが来た。 別に珍しいことではないが、うちの店に来る外国人はどちらかというとアジア系の人が多く、そのほとんどが日本語を話せない。 で、英語で話しかけてくる。 ところが、こちらが英語を話せないので、いつも商談は成立しない。
今日は少しばかり勝手が違った。 今日来たのはアメリカ人で、外国人独特の訛りはあるが、完璧に日本語を操る。 それもそのはず、こちらに11年間滞在しているらしい。 「日本人的な考え方ができるようになった」と言っていた。 「いろいろ国によって違うけね。日本人と韓国人みたいに、顔は同じでも考え方はまったく違う」 「うん」 さすが滞日11年。「うん」である。 ぼくが「学校の先生?」と尋ねると、「うん」と言った。 「どこの学校?K大?歯科大?」 「ううん」 「S短?」 「うん、でも短大じゃないけど」 「ああ、S高ね。あり得る」 「でも、神学じゃないけど」 「じゃあ、英語の先生?」 「うん」 S高というのは、ミッション系で有名なお嬢さん学校である。 また、ぼくが「神社行ったことある?」と言うと「もちろん」と答えた。 きっと気持ちは日本人なんだろう。 配達になったので、伝票を持ってくると、ちゃんと漢字で住所を書いていた。 帰り際に「炭そ菌気をつけて」と言うと笑っていた。
外国人相手にこんな普通の言葉で話したのは初めてである。 ぼくが初めて外国人と話したのは中学1年の時だった。 黒崎に遊びに行った時、外国人の集団に捕まった。 モルモン教である。 彼らはぼくに聖書を売りつけようとした。 「いくらか?」と訊くと、「1000円でーす」と言った。 ぼくが「ノーマネー。ただでくれ」と言うと、「Oh! No money」と言って笑っていた。 後で知ったことだが、その時期あのケント・ギルバートが黒崎に滞在していたことがわかった。ということはその中に彼がいたのであろう。 「そういえばいたような」と思うが、外国人はみんな似たような顔をしているからなあ。
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