体のまわりに一枚膜があるような感じ。 自分のまわりで、確かに何かが起こっている。時間が出来事という形をとって渦巻いている。それなのに、嵐を微風とも思わないようなこの感覚は、自分がいろいろなことに麻痺してしまったということなのだろうか。 テレビで事件が起こるたびに、キャスターたちは口をそろえて同じことを言う。 「少し特殊な」 「一風変わった」 最初はそれでもよかったけど、降り積もればそれが通常になる。それさえ気付けないまま「少し変わった」を繰り返すのは、現実を認めたくない・・・認められない古い流れ。やがて濁流に変わる「少し変わった」流れに流されたときにはもう遅いのに。濁流になる前にもどすことができるのも彼らだけなのに。 過去を大切にすることは大切だし、尊くすばらしいことだけど、現実を認めてそれに添うこともできなければ、黄金に柔らかく降り積もる綿埃。やがて金は埋もれてなくなってしまうだろう。
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