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今日の私
by かずき
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■『壁の中の妖精』簡単感想
<時間>1幕19:00〜20:05、2幕20:20〜21:20
<場所>新国立劇場小劇場、R1列0番
(T字型舞台の上手側根元角最前列)
<作・演出>福田善之
<出演>春風ひとみ
スペイン内乱終結から30年間、フランコ独裁下で、
見つかれば処刑される男は、壁の中に隠れた。
その男の妻と娘を中心に、男自身や母親、娘婿、
かつて戦場で戦った仲間など、何十人もの人々を
一人だけで演じるミュージカルです。
何年か前に村井さんがとても褒めていたので、
気になって観に行って以来、3回目。
今回のツアーは演鑑以外の公演がほとんどない上に、
新国での公演も3回だけと極端に少ないせいか、
一般で取れた人がどれくらいいるんだろうかと
心配になるくらい、関係者だらけの客席でした。
中には、村井さんもいらして、ちょっと嬉しく。
あまり細かいことは思わない舞台。
確かにスペイン史なんてほとんど知らないから、
初見時は、幕代わりに置かれているスペイン年表を
開演するまでに覚えておかなくちゃいけないのかと
焦ったりもしたけれど、正直、なくても問題はない。
これまでの経緯や個人の人格は何の関係もなく、
そうなってしまった以上「見つかったら殺される」、
そんな状況であることさえ把握できれば、分かる。
実は現実に、それらがほとんど関係なくなっている
ということ自体が、状況として一番怖いのですから。
ただ、特に妻である女性から、副題になっている
「生きているってすばらしい」という言葉が響いてくる。
怯えつつも懸命に戦う彼女に対して、最初のうちは
「こんな生き方をするくらいなら」と言っていた男が、
恩赦が出て、今までTVでだけ見てきた舗装道路に
初めて足を下ろした時、「地面が固い」と言う。
エンディングを迎える時には、それを感じられることに
ともに感謝できるようになっていました。
今回は初めてT字型で観たけれど、
観客席の中に張り出した形をした舞台のうえ、
客席に下りて卵を売り歩いたり、客席との交流があって、
ちょうど舞台に囲まれる席になっていた私は特に、
彼女の強さ明るさ可愛らしさに包まれた気がしたかも。
でも、年表屏風を置く場所がなくなってしまって、
ロビーに出されていたのはちょっと寂しかったかな。
あれを眺めているうちに、もの哀しいギターの音が
聞こえ始める演出も、ちょっと復活希望です。
08月12日(金)
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