ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■7063,閑話小題 〜コロナ禍がもたらすこと!
「魔神は瓶に戻せない」──デヴィッド・グレーバー、コロナ禍を語る
〜「ほんとうに自由な社会」へ
* コロナ禍がもたらしたこと!
要約すると、<コロナ禍が変えた非日常の日々こそ、あるべき姿。それまでの
現象は幻覚ぐらいに考えた方がいい。元に戻すなど、魔神を瓶に戻すようなこと。
満員電車の通勤を避けて、週に5日の通勤を1,2日にして、残りは自宅か近くの
図書館でテレワークをする夢のような、この非日常のが良いに決まっている。
この日々こそが、クレーバーがいう『瓶から解き放たれた魔人』ということに。
〜 その辺りが面白い!〜
≪ デヴィッド・グレーバーは新型コロナ危機について、何を語っているのか?
本稿執筆現在、メディアを通してなされた最新の発言は、フランス発の動画
ニュースサイト「ブリュット」の米国版に掲載されたインタヴュー
(2020年4月29日)。
―
コロナ危機以降、医療、農業、小売など生活に必要不可欠な業種を
「エッセンシャル・ワーカー」として見直す動きが広まっている。人類学者
デヴィッド・グレーバーは、経済とは社会の一員である我々がお互いをケアし、
ともに生存するための手段であるべきと主張する。
【 わたしたちは、これらすべてが終わったのち、それは夢に過ぎなかったのだ
と考えるよう促されることでしょう。実に奇妙な出来事だったが、それは現実
とは何の関係もない、今や目を覚まして、通常に回帰すべき時だ、というわけです。
しかしほんとうはそうではない。通常こそが夢だったのです。今起こっている
このことこそが現実だった。これこそが現実です。わたしたちは、わたしたちを
ほんとうにケアしているのはどんな人びとなのかに気づいた。ヒトとしての
わたしたちは壊れやすい生物学的存在にすぎず、互いをケアしなければ死んで
しまうということに気づいたのです。】
上記で夢に過ぎなかったと人類学者が述べているこれまでの「通常」とは、
『ブルシット・ジョブ』(原著2018年、日本語訳は岩波書店より2020年7月刊行)
で執拗に記述される奇妙な現実だ。 実入りのよいホワイトカラーであるほど
その仕事には社会的意義がなく、そのことに自覚的な少なからずが「内心必要が
ないと思っている作業に時間を費やし、道徳的、精神的な傷を負っている」一方、
「日々行われるケアによって社会を可能にしている人びと」は、医師のような
例外を除き、不安定な低処遇を強いられがちであるという現実。グレーバーは
新型コロナ危機を、何よりそうした「通常」の異常さが露呈する契機として捉え、
彼が「ケア階級(caring class)」と名付ける人びとに正当な地位を回復させて
新たな社会的現実を生み出すべきことを説く。】
ドイツのラジオ局「バイエルン放送」の文化番組が行ったインタヴュー
(4月8日)の冒頭を引こう。
【 ─デヴィッド・グレーバーさん、人びとは今、ホームオフィスで仕事をして
います。一部には、無条件のベーシックインカムの実現可能性を思いめぐらせる
ひとさえいる。
アナキストにとってはよい時代でしょうか?
デヴィッド・グレーバー;ともあれ、多面的にものを考える人間にとっては
よい時代ですね。だって、エリートたちや指導者層は今、一種のジレンマの前に
立たされているのですから。彼らはこの40年というもの、わたしたちにはもはや
新しくラディカルな発想など必要ないのだと人びとを説得することしかして
こなかった。もちろんそんな考えは間違っていたわけですが、ひっきりなしに
こうしたことが主張されてきたのです。さて今、そうした人びとは突如として、
選択の余地のない状態に置かれてしまった。物事をラディカルに変えなければ
ならない。それなのに、どうすれば変えられるのか、やり方を忘れてしまっている。
だからアイディアを持った人間が求められているのです。】
―
▼ 人を人間たらしめてきた群れのあり方を、根本から問い直しているのが、
このコロナ禍の問題。誰もが情報端末を身に付けてしまった時代の有りかた!
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07月16日(木)
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