ID:51752
原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■煙草による化学物質過敏症〜喫煙を注意されて殴る人
 茨城県警牛久署は10日、電車内での喫煙を注意した乗客の顔を殴ってけがを負わせたとして、傷害の疑いで警視庁千住署生活安全課主任の巡査部長桑原英男容疑者(50)=同県阿見町=を逮捕した。
 調べでは、桑原容疑者は9日午後10時すぎ、禁煙エリアになっているJR常磐線下り特急電車のデッキで喫煙していたのを茨城県牛久市の男性会社員(56)に注意されて腹を立て、牛久駅のホームに降りて男性の顔を数回殴り軽傷を負わせた疑い。
 千住署によると、桑原容疑者はこの日は日勤で、仕事を終えた後、東京都内で同僚と酒を飲んで帰宅途中だったという。調べに対し「申し訳ないことをしてしまった」と話しているという。
(共同通信) - 3月10日13時45分更新

以上引用--------------------------

これはひどい。
お酒を飲むと喫煙したくなって歯止めがきかなくなってしまう、というのは、わたし自身経験したことがある。
禁煙しているつもりなのに、お酒を飲んでくらくらしてくると、「シャキッとしたいから」といって煙草を吸ってしまう。
お酒で拡張した血管を、煙草で収縮させよう、ということなのか、と思っていた。
けれど、どちらも化学的に「無理やり」やっていることなので体にはとても負担を強いることになり、結局は体調を崩してしまうのだった。

もしかしたらそういうことの積み重ねの結果、わたしはお酒に対しても極端に弱くなってしまったのかもしれない。

お酒を飲む場には喫煙者が同席していることが多いので、もしかしたら受動喫煙してやっぱり調子悪くなってしまうことが、今でもあるのかも。
喫煙者のいないところで飲むとどうなるのか、一度試してみようかな……?
でも、それって「一人酒」になっちゃうのかなあ……
それは嫌だなあ…… つまんないし……

ああそうだ、話が逸れた。
飲酒して判断力が鈍っているせいで喫煙してしまい、今度は煙草の影響で喫煙を正当化せずにはいられなくなってしまう、という「機序」はわかるけれど(あくまで「理解できる」という意味で、「許せる」とは全然思えないけれど)、いくらなんでも、それで人を殴っちゃうのは、……(口をあんぐり)

上で紹介したサイトはあくまで「心の問題じゃなくて体の問題」と言っていて、それは多くの人に対して「冷静さ」を促す姿勢として高く評価できる。

でも、実は「気持ちの問題」に対しても、煙草はものすごく狡猾に作用する、というか「立ち回る」。
ニコチンは神経機構(シナプス)に直接働きかけるので、たぶん感覚神経とかだけではなく「ものを考える神経」に対しても影響を及ぼすことができるのでは。
ちょうど、一口めにはむせかえってしまうけれど、二口めからはむせてしまわないようになる(=気管の神経に直接働きかけて「この物質に対してはむせる反応をしなくていい」という回路を作り上げてしまう)のと同じように、大脳の中でも「喫煙を肯定的に考える」という回路が作り上げられ、「喫煙に対して否定的な考え方を持つ」という思考回路そのものがニコチンによって阻害されてしまうのではないか、という気がする。
少なくとも、わたし自身の場合はそうだったし、喫煙を正当化したがる人の言い分を聞いていると誰もがほとんど同じことしか言わないので、そういう類型的な思考回路を作るのはその人が自分の頭でちゃんと考えた結果ではなく、ニコチンに影響されてそういう考え方しかできなくなってしまった結果なのではないか、と思えて仕方ない。

面白いのは、ニコチンの作用はどこかの神経機構に対して「抑制的」に働くだけではなく、他方では「促進的」に働いてしまうこともある、ということ。
これについては「交感神経」と「副交感神経」がプラス方向とマイナス方向に作用しあってそのバランスで神経作用が機能する、ということをある程度きちんと理解していないとわかりにくいかも。

要は、同じニコチンがある神経回路では抑制的に、別の神経回路では促進的に作用することがあり、それが見事に「喫煙の正当化」を目標として機能する、ということ。
たかが化学物質のくせに、「あくまで自分にとって都合がいいように立ち回る」ことが、ニコチンはできるのだ。


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03月21日(火)
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